はじめに
2025年の春頃から、世界の株式相場は好調に推移しています。日本でも、最近では日経平均株価が初めて45000円を超えたことが話題になりました。相場が好調というニュースを目にすると、「自分も投資を始めてみようかな」「余裕資金をもう少し投資にまわそうかな」と思う人も多いのではないでしょうか。しかし、今日は株価が上がっていたとしても、相場はいつ下がるかわからないので、どのタイミングで投資すればよいか迷うことがあると思います。
私は資産運用サービス「ウェルスナビ」のセミナーで1000回以上講師を務めてきましたが、参加者の方から最も多くいただいてきた質問は、「一括投資と積立投資はどちらがよい?」です。多くの人が、投資するタイミングに悩みを抱えていることを実感してきました。
今回の記事では、多くの人が抱える投資タイミングに関するお悩みにお答えしたいと思います。
相場の動きは正確に予測できない。相場が気になる場合は、積立のほうが続けやすい
まず、前提として考えておきたいのは、金融の世界は不確実性が高いということです。株価や為替などの相場がこれからどうなるか、正確に見通すことは難しいものです。
最近の相場を見ても、2025年に入ってから米国株の下落と円高が緩やかに進んだあと、4月に米トランプ政権が新たな関税政策を発表したことで、相場が大きく動きました。関税政策は、事前の多くの予想よりもはるかに大規模なものであり、正確に見通すことは難しかったといえます。
相場を見通せない以上、毎月同じタイミングで決まった金額を投資する積立のほうが、短期的な相場の動きに対して、資産価格が大きく変動するリスクを抑えることができます。日々の相場の変動に一喜一憂しづらくなり、淡々と続けやすくなると考えられます。毎月同じ日に同じ金額を投資するといったように、ルールを決めておくことが重要です。
積立投資は、相場が下がったときに効果を発揮する
積立の効果は、金融危機で相場が大きく下がったときに、特に強く実感できます。
ここで過去を振り返ってみます。仮に、2008年のリーマン・ショック直前に積立投資を開始していたとします。リーマン・ショックで相場が下がったタイミングでも積立を続けることで、2011年に相場が元の水準に戻った時点で、プラスのリターンになっていました。
なぜプラスのリターンになったかというと、相場が下がっていた時期に、追加で安く投資を続けられたからです。安く買い続けることで、相場が元に戻るだけでプラスのリターンを得られたことになります。
一方で、リーマン・ショック前に一括で投資していたとすると、資産が大きく減った後で、元に戻るだけだったということになります。