はじめに
ペットは家族の一員として、かけがえのない存在です。大切な家族の“もしも”に備え、飼い主として準備しておくべき医療費・治療方針など、FP視点でお伝えします。
これからペットをお迎えする方も、すでに愛おしい相棒がいる方も、お金が理由で後悔しないために、ぜひチェックしてみてください。
保険がなければ“全額自己負担”の現実
「ペットを飼うにはお金がかかる」多くの方がそう理解しているはずです。食事やケアなど、毎月の支出はある程度想定できます。ところが、いざ病気やケガで動物病院にかかると、「こんなに費用がかかるなんて」と驚く方もいるでしょう。
なぜなら、私たち人間には健康保険がありますが、ペットにはその制度がなく、動物病院での診療はすべて自由診療。つまり治療費は100%自己負担になるからです。例えば、薬代。人間と同じく3割負担のつもりでいると、とても高く感じます。知り合いの大型犬を飼っている方は、月5万円もかかるとおっしゃっていました。また、ガンの抗がん剤治療となれば50万円〜100万円に達するケースも珍しくありません。こうした負担を軽減するために生まれたのがペット保険です。
ペット保険は、毎月の保険料を支払う代わりに、病気やケガにかかった医療費を一定割合で補償してくれる仕組みです。補償の基本は 「通院」「入院」「手術」。さらに保険会社によっては、ペットが他人を噛んでしまった場合の賠償責任補償、ペット葬儀や火葬費用の一部補助、介護用車いすなどのレンタル費用をサポートする特約も用意されています。まさに、いざというときの金銭的セーフティネットといえるでしょう。
保険に入るメリットとデメリット
保険に加入での一番のメリットとしては、やはり高額治療に備えられることです。ペットの医療は進歩し、治療の選択肢も広がりました。しかしその分、費用も高額になっています。
例えば手術で20万円かかった場合、保険加入で70%補償の契約なら、飼い主の負担は6万円ですみ、経済的な負担が軽減できます。
やってあげたい治療を諦めるほどつらいことはありません。保険があれば躊躇なく病院へ向かい、結果的に早期発見・早期治療につながる可能性があります。
もちろん、ペット保険は万能ではありません。
デメリットの一つが、掛け捨てであることです。保険を使わなくても、支払った保険料は戻ってきません。ワクチンや避妊・去勢手術、既往症や先天性疾患は補償対象外となり、カバーされないのが一般的です。特定の疾患も対象外の場合があるので、ペットの種類によっては、かかりやすい病気が対象か、加入前に確認する必要があります。
アニコム ホールディングスが発行する「家庭どうぶつ白書」には、犬や猫、エキゾチックアニマルの様々なデータが載っていますので、ご一読されてもいいでしょう。
また、保険対象疾患であっても、限度額や限度日数などの様々な制限があり、高額になった場合、一部しかカバーできない場合があります。
加えて、高齢になってからは加入できない場合が多く、更新が難しくなるケースもあります。そして忘れてはならないのが、保険料の上昇です。年齢とともに病気リスクが上がるため、毎年の保険料も高くなります。若いうちは月2,000円前後だったものが、シニア期には月1万円近くになることもあります。
最後にペット保険の会社は、損害保険会社または、少額短期保険会社ですが、少額短期保険会社については損害保険契約者機構の対象外なため、万一破たんした場合、契約が途中で終了してしまう可能性があります。めったにないケースかもしれませんが、記しておきます。