はじめに
投資に興味を持ちはじめたら、どんな人からアドバイスをもらうでしょうか? 今はSNSなどをはじめ、インフルエンサーなど、さまざまな人の意見を気軽に見ることができます。
しかし、その中には「聞いてはいけない」危険なアドバイスも少なくありません。情報が多くある時代だからこそ、どんな人のどんなアドバイスを聞くかが重要です。
今回は初心者の人が、うっかり聞いてしまいがちな、避けるべきアドバイスの特徴をお伝えします。
「成功体験」しかない人からのアドバイス
投資で成功している人のアドバイスは聞きたくなるものですが、失敗経験があまりない人、もしくはリスクに触れない人には要注意です。
ここ数年は株価が比較的右肩上がりでした。2024年8月、2025年4月に相場の大きなショックがあったものの、その後の回復が比較的早かったこともあり、特に数年前に投資を始めた人は、資産を増やしている人が大多数だったかもしれません。
しかし筆者が30年間細々と株式投資をしているなかで痛感することは、決して順調に上がる時ばかりではないこと。たとえば、2008年のリーマンショックでは回復までに4年半かかりましたし、投資を始めた時期によっては大きな含み損を抱えつづける場面もよくあります。
投資には「絶対」はありません。数年間の成功体験を元に「絶対に増える」「自分はこれだけ増えたから、投資は絶対におすすめ」というタイプの意見は、ほどほどに聞くようにしましょう。そのようなアドバイスは、海外旅行にいって「自分は〇〇の国に行って大丈夫だったから、○○の国は絶対に大丈夫」と言っているようなもの。状況は刻々と変化しますので、その人がその時に経験した事実に間違いがないとしても、あくまでも一つの意見としてとらえましょう。
投資にはさまざまなリスクがあることを念頭に置いたうえで、「今後の自分の場合はどうか」と、冷静に判断することが大切です。
「ライフプラン」を無視するアドバイス
「低金利の預貯金にお金を置くなんてもったいない」「投資をしたら何倍も増える」「だからどんどん投資にまわすべき」というアドバイスも散見されます。
資金に余裕がある人や、今後しばらくは多くの預貯金を使う予定のない人、投資の中上級者であれば、参考になるアドバイスかもしれません。しかし、全員が鵜呑みにしていいものではないのです。
預貯金と投資性商品を比べると、投資性商品の方がリスクがあるため、期待リターンが高めになることは当然といえます。
現在は、預貯金なら1%前後、投資性商品なら3~10%などが期待できるでしょう。しかしこれは長期で見た場合で、短期間でみれば、投資性商品の方は、一時的に大きなマイナスになる可能性も含まれているのです。
もちろん、インフレ上昇率よりも、金利が低い場合は、資産が預貯金だけだと実質的な資産が目減りすることに留意する必要がありますが、かといってリスクを取りすぎて投資性商品を増やし、相場に左右されて必要なお金が準備できなくなってしまっては本末転倒です。
「預貯金にどれだけとっておき、投資性商品にいくら回すか」は、自分のライフプランにあわせて考える必要があります。例えば、今後数年以内に大きなお金が必要な場合、資産の多くを投資にまわすことは要注意です。1年後に受験があって受験費用とその後の入学金や授業が必要だったり、2年後に車を買い替えたかったりする場合をイメージしてみましょう。相場は予測できず、ちょうどその時期に急落してしまったら、預貯金があればすぐに資金を使えますが、そうでなければ投資性商品を損を出して売らざるを得なくなるかもしれません。そのリスクは避けたいですよね。
そのため、今後数年以内に使う予定があれば、元本保証のある預貯金などでとっておき、5~10年以降に使う予定なら、少しずつリスクのある投資性資産にまわすなど、バランスを考えましょう。
投資中上級者になれば、投資性商品が多くても、よいタイミングで一部を売却して現金化することもできますが、投資初心者は、預貯金と投資性商品の位置づけを明確に分けておくことが賢明です。
同じような収入、資産、ライフスタイルでも、ライフプランが違えば、預貯金と投資性商品の適切な配分は大きく異なります。自分のライフプランは自分しかわかりませんので、しっかり考えてから投資を検討しましょう。