はじめに
売上の天井に苦しむユニクロ
ユニクロが国内での伸び悩みに直面しています。7月14日に発表した3~5月期の連結決算では既存店売上高は2.8%増えたそうですが、客数はそれを打ち消す6.1%減となりました。過去2年間、ユニクロの客数は減り続けているのです。
その理由として昨年秋まで2年かけて商品価格を10%以上値上げしたことが指摘されています。2,990円で買えたボトムズが3,990円になったというように、価格のお手頃感がなくなっていきました。
同時に夏場のドライや冬場のヒートテックのような機能性商品も、イトーヨーカドーやイオンなど他の量販店でも同等品が開発されるようになり、しかもそちらの方が安いという状況が生まれ、客離れが加速したようです。
打ち手が裏目に
ユニクロでは対策として春夏物で300円から1,000円の値下げを行いました。ただ同時に週末のセールを控えるようにしてしまったために、客足は戻ってこないという状況に陥りました。
そして6月、久しぶりに大型の週末セールを実施すると、レジには長蛇の列ができたのですが、その反動で平日はレジの閑散が目立つように。打つ手打つ手がどうも裏目に出てしまっているというのが最近のユニクロです。
どうすればここから成長に持っていくことができるのでしょうか?
停滞の原因はどこにあるか?
冷静に考えると、今、消費者にとっては自宅内で衣類の過剰在庫が起きています。ユニクロファンの家庭の場合、特に、過去のセールで大量のUTやシャツ、チノパンツを買ってしまった結果、当面、2~3年は新しい商品を買わなくても生活をしていけるというケースが実は少なくありません。機能性の下着についてもまったく同じ状況です。
ですから、客数減少の一因は、このような家庭がユニクロに足を向けずに、どうせ洋服を買うならもう少し特別なブランドの商品を買いたいと行動していることが背景にあるでしょう。
この観点で捉えれば、メンズ領域においては有効な対策を打つことが難しいでしょう。メンズはファッションとして大きな流行の変化がありませんから、3年前に買った衣服でも堂々と着て街を歩くことができるのです。