はじめに

「個人向け国債」に興味がある人も多いでしょう。

購入についての解説記事はよく見かけますが、「中途換金をした場合、どうなるんだろう」「手数料ってどれくらいかかる?」と疑問に思うことはありませんか?

今回、筆者が個人向け国債(変動10年)を150万円分中途換金した、リアルレポートをお届けします。


そもそも「個人向け国債」とは?

個人向け国債とは、個人が1万円から購入できる日本国債です。固定金利の「固定3年」「固定5年」と変動金利の「変動10年」の3つのタイプがあります。

最近は金利が上昇局面なので、「変動10年」を選んでおくと、金利上昇の恩恵を受けられる可能性があります。

「10年」というと、10年間換金できないように思えますが、そんなことはありません。

個人向け国債は、購入して1年経てば中途換金ができます。ただその際に、直近の利子2回相当分がペナルティ(手数料)として差し引かれますが、受け取った利子以上に手数料を支払うことはないので、元本割れはありません。

直近の個人向け国債変動10年は、利率1.060%(2025年9月発行/第186回個人向け利付国債変動10年)でしたので、比較的利回りがよいと感じる人も多いのではないでしょうか。

購入方法はなんとなくわかっても、個人向け国債(変動10年)を買って、10年より前に「中途換金」をした場合はどうなるのでしょうか。

筆者は今回、150万円ほど中途換金をする機会がありまして、そのレポートをお届けします。

「150万円」の個人向け国債は、中途換金でいくら戻ってきた?

実は、自宅の水回りのリフォームをすることになり、200万円程度必要になりました。そんなときのために取っておいたのが、個人向け国債(変動10年)です。

2022年に、時期を分けて「50万円」と「100万円」の合計150万円を大手銀行(店舗型銀行)で購入していました。こちらを中途換金して資金に充てることにしたのです。

購入はネットバンキングでできたものの、中途換金の場合は店舗に行く必要があるとのことでした。

そこで、予約をして店舗に行ったのが、9月9日です。個人向け国債は、半年ごとに利子が支払われます。150万円のうち、「100万円」は、数日後の9月15日付近が利払い予定日でした。

「それなら、9月15日まで待って、利子を受け取ってから中途換金したほうがお得では?」と思うかもしれません。

しかし、大丈夫です。「経過利子」というものがあり、利払いの日が来ていなくても、それまでの期間に応じた利子を受け取ることができるのです。

では実際に、その「経過利子」と「中途換金手数料(ペナルティ)」がいくらだったかをお伝えします。

●100万円 (変動10年 第143回2022年3月15日発行)
・経過利子…4,093円
・手数料…4,382円(直近で受け取った2回の利子合計は4,384円)

過去の適用利率(税引前)は、2022年6月16日以降から半年ごとに、0.17%、0.17%、0.28%、0.60%、0.57%、0.65%、0.84%でした。

★中途換金をして受け取った金額…100万円+4,093円-4,382円=99万9711円
●50万円 (変動10年 第146回 2022年6月15日発行)
・経過利子…1,012円
・手数料…2,429円(直近で受け取った2回の利子合計は、2,432円)

ちなみに、過去の適用利率(税引前)は、2022年3月16日以降から半年ごとに、0.11%、0.11%、0.32%、0.39%、0.49%、0.61%、0.83%でした。

★中途換金をして受け取った金額…50万円+1,012円-2,429円=49万8583円

中途換金による手数料は、直近で受けとった2回分の利子と、ほぼ同額だということがおわかりいただけるかと思います。

また、2022年からの半年ごとの適用利率を見てみると、超低金利から少しずつ上がってきていることもわかりますね。

ただ、受取額は、いずれも最初に購入した金額の100万円と50万円からは減っているため、この中途換金に関する手数料を理解していないと、「元本割れした?」と勘違いをしてしまう人もいるかもしれません。

しかし、実際にはこれまで3年間ほど、年2回利子を受け取ってきていますし、受け取り済みの利子以上の手数料がかかることはないため、中途換金による「元本割れ」はしていません。

財務省のホームページでは、中途換金を場合に受け取れる時期は、「申し込んだ日を含めて、おおむね3営業日後」とあります。私の場合は、9月9日に窓口で中途換金を申し込み、9月11日に普通預金口座に振り込まれていて、「証券 売却」と記載がありました。

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