はじめに

「家を持つか、賃貸か」。人生の大きな決断のひとつですが、近年住宅を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。特に、2025年前後から相次ぐ住宅関連の法改正は、持ち家と賃貸のメリット・デメリットを改めて見直すきっかけになりそうです。


改正1. 省エネ住宅の基準がさらに厳格化

先日、経済産業省は省エネルギー住宅の認定基準の見直しを発表しました。2027年4月以降、これまでのZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)という住宅区分はなくなり、より厳しい基準を満たす「GX ZEH」へ移行します。

具体的には、どちらも「家で使うエネルギーを、断熱や太陽光発電などで実質ゼロ以下にする家」を意味します。GX ZEHはこれをさらに進化させ、断熱や外皮性能の基準を強化し、蓄電池の設置を必須化するのが大きな特徴です。つまり、これまでのZEHよりも「エネルギーを作る・ためる」力が求められます。

要件が厳しくなれば初期コストは上がり、購入後の維持費も上がるでしょう。国の政策は住宅の「資産価値」に直結する可能性があります。数年前の基準で建てた家が、将来的に「性能不足」と見なされ、評価が下がる可能性も否定できません。

改正2. 賃貸でも高齢期の住まいを確保しやすくなる

一方で、賃貸住宅のハードルを下げる動きも進んでいます。これまで高齢者や低所得の方が賃貸住宅を借りにくい状況がありましたが、2025年10月以降、住宅セーフティネット法の改正により高齢者や低所得の方でも借りやすい仕組みが整いつつあります。

これまでは、オーナー側のリスクなどから高齢者の入居を断るケースが見られましたが、改正後は入居後のトラブル対応や相続人の負担を軽くするスキームが導入されました。

家を買う理由はそれぞれですが、「老後は賃貸住宅を借りられない」という不安から家を買う選択をされる方も少なくないことと思います。しかし今後は、高齢期でも安心して住める賃貸の選択肢が広がる可能性があります。

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