はじめに
学習費の実態と制度による軽減効果
注意したいのは、支援の対象はあくまで「授業料」であるという点です。高等学校等にかかる費用としては、他にも教材費や部活動費、修学旅行費、さらに塾や習い事などの「学校外活動費」もかかります。
文部科学省が行った「令和5年度子供の学習費調査」によると、公立・私立高等学校それぞれにかかる年間学習費の総額の平均は以下の表の通りです。さらに、東京都を例に、支援制度を利用した場合の負担額の変化をシミュレーションしました。

支援制度を利用することで公立と私立の年間負担額の差が縮まります。これまで「経済的に厳しい」と諦めていた私立高校も、現実的な選択肢として考えられるようになるでしょう。
ただし、上記は平均額であり、支援金でカバーできるのはあくまでも授業料のみです。学校ごとにかかる費用には差があるため、個別に確認が必須です。入学金や施設費、修学旅行費用など、「授業料以外にかかる学費」も含めて公立・私立の選択を検討しましょう。
高校の学費軽減効果を教育費全体で捉える
高校授業料無償化に向けた制度の拡充により、高校の教育費負担が軽減されるのはありがたいことですが、「高校の教育費」と切り離して考えるのではなく、教育費全体の一部として捉えることで、進路選択の可能性が広がります。
・中学からの選択肢が広がる
高校3年間の学費負担が軽くなることで、私立中高一貫校など、中学受験の選択肢も広がる可能性があります。ただし、私立では授業料以外にかかる費用が多いため、個別でどれくらいかかるのかを確認し、慎重な判断は欠かせません。
・教育の質を高める投資ができる
授業料負担が減った分を塾や習い事、留学、探究活動など、子どもの可能性を広げるための「学校外費用」に充てることができます。
一方で、教育費は高校で終わりではなく、その先の大学費用が家計にとって最大の山場です。支援により「浮いたお金」を上手に活用するのはもちろんですが、大学資金のために貯蓄をしておくことで、将来の負担を減らすことができます。
さらに、教育費に集中しすぎると、老後資金や住宅ローン返済にしわ寄せがくる可能性があります。教育費だけで捉えるのではなく、「ライフプラン全体の中での教育費」という視点を持って、資金計画を考えていくことが大事です。
制度を理解し、ライフプランに組み込むことで、現実的に可能な選択肢が見えてきます。今後の実現が期待される「所得制限のない高校授業料無償化」が、お子さんの進路選択や、やりたいことを叶える一助となることを願っています。
「私、同年代より貯蓄が上手にできていないかも…」お金の悩みを無料でFPに相談しませんか?[by MoneyForward HOME]