はじめに

先週も株式市場は、驚きの連続でした。今年に入り、本コラムでも何度か市場の動向を取り上げてきましたが、その勢いは衰えを知りません。

先週は、日経平均株価が52,000円を突破し、東証プライム市場の売買代金が10兆円を超えるなど、国内市場の上昇が際立ちました。また、米国市場でも、NYダウ、ナスダック、S&P500の主要三指数が過去最高値を更新。AI関連銘柄の代表格であるエヌビディアの時価総額が史上初めて5兆ドルを突破し、アップルの時価総額も4兆ドルを超えるなど、多くの驚くべき出来事がありました。

こうした市場環境を背景に、国内公募の追加型株式投資信託でも、純資産総額(残高)が1兆円を超えるファンドが相次いで誕生しています。


増加する「1兆円超えファンド」とeMAXIS Slimシリーズの快進撃

10月30日現在、純資産総額が1兆円を超えるファンドは過去最多の12本となりました。直近では、10月にアセットマネジメントOneの「たわらノーロード 先進国株式」が、9月には三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス(除く日本)」が、そして8月には野村アセットマネジメントの「野村外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI(確定拠出年金向け)」が1兆円の大台を突破しています。

中でも、個人投資家から支持を集める「eMAXIS Slim」シリーズの勢いは止まりません。三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、10月10日に純資産総額9兆円を突破。また、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」も同日に8兆円を突破しました。両商品は約2カ月で1兆円を積み増すペースで成長しています。

この結果、「eMAXIS Slim」シリーズ16本の純資産総額は合計で20兆円を突破しました(10月6日時点の合計残高は20兆618億円)。これらのファンドが人気を集める背景には、信託報酬が業界最低水準に設定されている点が挙げられます。

ファンドを支える組み入れ上位銘柄の動向

上記に記したインデックスファンドの組み入れ上位銘柄は、比率に違いはあるものの、概ね共通しています。その顔ぶれは、1位エヌビディア、2位マイクロソフト、3位アップル、4位アマゾン、5位メタと、いずれもAIやテクノロジーを牽引する巨大企業です。

中でもエヌビディアの上昇は目覚ましく、10月28日には史上初めて時価総額5兆ドル(約750兆円)を突破しました。2024年6月に3兆ドルに達してから、わずか約3カ月で5兆ドルに到達する驚異的な勢いで、米エネルギー省向けのスーパーコンピューター構築計画や、データ分析サービスを手がける米パランティア・テクノロジーズとの提携などが好材料視されています。

また、アップルも10月29日に時価総額4兆ドル(約600兆円)を突破し、エヌビディア、マイクロソフトに次ぐ3社目となりました。9月に発売された「iPhone 17」の好調な販売が評価されたほか、10月30日に公表された2025年第3四半期(7~9月期)決算では、売上高が前年同期比8%増の1,024億6,600万ドル、純利益が86%増の274億6,600万ドルと好調を維持。続く第4四半期では、iPhoneが2桁成長を見込むなど、過去最高の四半期売上高を予測しています。

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