はじめに

株式市場で注目を集めるのは大型グローバル企業だけではありません。国内では知名度が低くても、世界の特定分野で圧倒的なシェアを誇る「グローバルニッチトップ」と呼ばれる企業は、なぜ投資家にとって魅力的なのか。また、細かな技術を積み重ねて世界シェアを獲得する企業が非常に多い国、日本の企業を紹介します。


グローバルニッチトップ企業に注目

株式市場には、大型のグローバル企業や国内で圧倒的なシェアを持つ企業が多くあります。
しかし、投資歴が長い投資家が「本当に強い」と口をそろえるのは、国内では知名度が低くても「世界の特定分野では絶対王者」という状態を築いている企業です。「目立っていない会社」こそ、派手なニュースや話題づくりとは無縁である一方で、世界の特定市場で圧倒的な存在感を発揮し、安定的な利益基盤を築いているからです。

これを「グローバルニッチトップ企業」と呼びます。投資対象としてどう魅力的なのか、投資家として注目したい銘柄などをご紹介していきます。

投資家にとって魅力的な特徴5つ

経済産業省はグローバルニッチトップ企業を『世界市場のニッチ分野で勝ち抜いている企業や、国際情勢の変化の中でサプライチェーン上の重要性を増している部素材等の事業を有する優良な企業』と表現しています。つまり、「世界のニッチ(隙間市場)においてトップシェアを持つ企業」を指します。

重要なのは、市場の大きさ自体は限定的ですが、その分野において世界の主要企業や各国の大企業が“絶対に必要とする”製品であることです。

自動車部品のごく一部の精密パーツ、スマホの中に入っている極めて細かい部品、工場で使われる特殊な測定装置、火力・水力発電で使われる非常に大きい産業用部品の一部分などを作っている企業がそれにあたります。

グローバルニッチトップ企業は、投資家にとって極めて魅力的な特徴を持っています。

理由の1つめは、景気に左右されにくい安定収益があることです。

ニッチ市場は、必要不可欠で代替品が極めて少ないケースが多く、景気が悪化しても一定の需要があります。例えば医療用部品のメーカーや、部品の検査装置などは、世界中の企業が必要とし続けます。そのため業績が安定しやすく、株価も比較的落ちにくい傾向があります。

理由の2つめは、価格競争が発生しないため高収益であることが多いからです。

技術力や長年の実績が必要で、他社が容易に参入できません。結果として、高い営業利益率や顧客との長期間の継続取引、技術料・メンテナンス料などストック型収益も取りやすいため、「高収益体質×安定需要」という投資家が理想とする構造を持つ企業も見受けられます。

理由の3つめは、世界トップシェアはブランド力につながるということです。

トップシェアを取る企業は、非常に強い技術やノウハウを持っているため、他社が追いつくのが困難な場合が多くあります。製品の価値が高まり、世界中の大手顧客から選ばれやすくなり、企業そのものが替えの効かないブランドになることがあります。

理由の4つめとして挙げたいのは、株価が割安なケースが多いことです。

実は、グローバルニッチトップは知名度が低めでテーマ性も弱いため、割安に放置されがちです。世界トップシェアであっても、一般投資家の注目を浴びないケースが多く、PERが市場平均より低いことも珍しくありません。初心者から長期投資家まで、誰にとっても「安全に安く買える」チャンスとなります。

理由の5つめとして知っていただきたいのは、日本には“世界で戦えるニッチ企業”が非常に多いことです。

精密機械や材料、部品、化学、半導体製造装置、医療機器部材など、細かな技術を積み重ねて世界シェアを獲得する企業が非常に多いです。実際、経産省の「グローバルニッチトップ企業100選」でも、日本の技術力の高さが世界的に評価されていることがわかります。日本市場で投資をする投資家にとって、日本が世界的に得意とする分野に投資できるというメリットがあります。

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