はじめに
2025年も残すところあと10日となりました。2025年の日本市場は、11月に日経平均株価が52,636円という史上最高値を記録するなど、堅調な推移を見せました。記録的な上昇相場の中で、どのような銘柄が市場を牽引し、一方でどのような企業が苦境に立たされたのか。2025年の騰落銘柄を検証します。
値上がり銘柄
プライム市場において、上昇率で際立った動きを見せたのが以下の銘柄です。
キオクシア(285A)
NAND型フラッシュメモリやSSD、microSDカード、USBメモリなどの製品の開発・製造・販売をする日本の半導体メーカーです。DRAMとNAND型フラッシュメモリの価格引き上げ、共同開発パートナーである米ウエスタンデジタルの株価上昇が支援材料となり、プライム市場の値上がり銘柄のトップとなりました。
メディカル・データ・ビジョン(3902)
医療情報の発生元の1つである病院に向けて、病院の経営を支援するシステムを提供する企業です。12月、日本生命保険によるTOB(株式公開買付け)が発表され、株価が急騰しました。1株あたりの買い付け価格は12日の終値比で1231円高い1693円です。日本生命による国内上場企業へのTOB実施は初めてです。
住友ファーマ(4506)
精神神経領域とがん領域に強みを持つ大手製薬会社で、2005年の大日本製薬と住友製薬の合併により誕生しました。2025年8月、iPS細胞由来のパーキンソン病治療薬について、厚生労働省への製造販売承認申請を行ったことが評価されました。前立腺がん治療薬の販売が好調だったこともポジティブ視されました。
三井金属(5706)
資源開発・金属製錬をルーツに持つ三井グループの大手素材メーカーです。AIデータセンター向けサーバーや高性能通信インフラ機器のプリント基板に同社の「高性能銅箔」が使用されています。データ通信の高速化に伴い同社製品の採用が拡大したことが好感されました。2026年9月までにマレーシア・台湾工場での増産計画(月産840トン体制)を発表しています。
三井海洋開発(6269)
海洋石油・ガス田において浮体式生産設備を用いた石油・ガス生産のためのトータルサービス提供を主な事業とする企業です。南鳥島沖でのレアアース試験掘削開始のニュースを受け、深海資源の開発技術を保有している同社に買いが集まりました。
東洋エンジニアリング(6330)
プラントエンジニアリング分野を中心に、グローバルな舞台でプラント建設を手がけているエンジニアリング企業です。三井海洋開発と同様、レアアース関連銘柄として浮上。海底6,000mからレアアース泥を回収するシステムの技術開発に携わっています。