はじめに
銀行預金の金利が長く低水準だった日本では、「お金を増やす」という視点を持ちにくい状況が続いてきました。しかし近年、金利が緩やかに上昇し、資産の置き場所を見直す人が増えています。
その中で注目されているのが、一度に保険料をまとめて払い込む「一時払終身保険」です。資産運用と保障の両面を兼ね備えたこの商品が、なぜ今再び脚光を浴びているのか。メリット、デメリットを整理しながら、その特徴と魅力をわかりやすく解説します。
一時払終身保険とは?
一時払終身保険とは、契約時に保険料をまとめて1回で支払い、その後の保険料の払い込みは不要で、死亡時に必ず保険金が支払われるタイプの生命保険です。
仕組みはシンプルで、入金した保険料の一部が「保障」のために使われ、残りは「積立」として運用されます。長期間保有することで積立部分が増え、契約から時間が経つほど返戻率(払った金額に対する戻りの割合)が高くなる商品が一般的です。
つまり、預金のように資金を置きながら、同時に死亡保障まで確保できる「ハイブリッド型の金融商品」といえます。
なぜ一時払終身保険が注目されるのか?
ここ数年、各保険会社の返戻率が改善しています。その背景には、市場金利の緩やかな上昇や運用環境の改善があります。
その結果、以前は払込額を下回る期間が長かった商品でも、契約初期から「ほぼ横ばい〜微増」する商品も増えてきました。
一方で、銀行預金の金利はまだ低い水準のため、余剰資金の置き場所として一時払終身保険が預金の代替として検討されやすくなっています。
実際、退職金の置き場所について「とりあえず預金口座に入れている」という人は多いものの、物価上昇(インフレ)が続く中で、現金をそのまま持ち続けることに不安を感じる人が増えていることも事実です。こうした背景も、一時払終身保険に注目が集まる理由のひとつです。