はじめに
現在発売されている多くの「がん保険」は終身型です。しかし、がん保険は本当に生涯にわたって必要なのでしょうか。たとえば85歳でがんに罹患したとします。他の疾患も抱えている場合、手術や抗がん剤治療に耐えられず、医師から「積極的ながん治療は難しい」と判断されることもあります。
その場合、治療を受けられないため、がん保険で備える必要はほとんどありません。そもそも保険は、ライフステージに応じて見直すのが合理的な使い方です。では、2人に1人ががんに罹患する時代において、がん保険はどのように見直すべきなのか、また終身で持つ意味が本当にあるのかを考えていきます。
30〜50代は「がん保険」で備えるべき時期
私は、ある程度の貯蓄があれば医療保険は不要だと考えます。理由は、公的医療保険制度があり、治療費の自己負担は原則3割、さらに高額療養費制度によって自己負担額には上限が設けられているからです。一般的な収入(標準報酬月額28万〜50万円の方)の場合、医療費が高額になっても、自己負担は月9万円前後に抑えられます。
一方、がん保険は治療費そのものよりも、「収入減」の備えとしての役割が大きい保険です。がん治療では、抗がん剤治療や放射線治療は長期に及ぶことが多く、その間はフルタイム勤務が難しくなるケースも少なくありません。
働き盛りに収入が減少するのは、家計に大きな影響があります。特に30〜50代は、がんの罹患率自体はそれほど高くありませんが、もし罹患した場合、家計へのダメージが大きい年代です。
たとえば、子どもが大学に進学を控えている家庭では、教育費などの大きな支出に影響が出る可能性もあります。このため、30〜50代は「がん保険で備えるべき時期」といえるでしょう。
年金暮らしになると必要性は低下
では、65歳以上の方にとって、がん保険はどれほど必要なのでしょうか。65歳を過ぎると、再雇用期間も終わり、仕事を辞めて年金暮らしに入る方が多くなると思います。
現役時代におけるがん保険の大きな役割は、「がんによる収入減への備え」でした。しかし、年金暮らしになった場合は、「働けなくなる」というリスクは少なくなります。その結果、「がん保険」の必要性は大きく下がります。
もちろん、がんに罹患するリスクは年齢とともに上がります。この年代で重要なのは、「検診」です。定期的に検診を受けることで早期発見につながり、仮にがんに罹患しても、早期治療であれば、治療費の負担も軽く、何より生存率を高めることができます。
万が一がんに罹患しても、公的医療制度があるため、自己負担額が極端に大きくなることはありません。老後資金が少ない場合を除けば、がん保険への依存度は低くなっていくでしょう。