はじめに
30名で営業利益25億円! Aiロボティクスの破壊力
そして今、業界の常識を根底からひっくり返したのがAiロボティクス(247A)です。社名からして従来の「家電メーカー」らしさは皆無ですが、ビジネススタイルはさらに既存の枠を大きくはみ出し、倍々ゲームのような脅威の成長を続けています。
2025年3月期の通期決算では、営業利益は約25億円(前期比約2倍)。驚くべきは、この利益をわずか30名程度の従業員で稼ぎ出している点です。計算すると、従業員1人あたりの営業利益は約8,300万円超。この驚異的な数字を支えているのが、同社が独自開発したAIシステム「SELL」です。これは単なる効率化ツールではありません。広告を出す前にその反応を予測し、バナー一つ、言葉一つを最適化します。さらには、膨大な顧客データから「次にヒットする商品」を導き出し、予測して在庫を最小限に抑制。
ヤーマンが「技術」という城壁を作ったのに対し、Aiロボティクスは「SELL」という名の全自動・高精度レーダーを手に入れました。職人の勘を排除し、データが「売れる」といったものだけを形にする。この「徹底した科学」こそが、1人あたり営業利益8,000万円という、従来の家電業界ではあり得ない数字を叩き出すのです。
Aiロボティクスの強さは、最新ヒット商品「Brighte」のドライヤーにも現れています。このドライヤーは、単に髪を乾かすだけではありません。専用の「美容液カートリッジ」を装着し、風と一緒に美容成分を浴びせるという新発想。発売初日に楽天市場の6つのカテゴリでランキング1位を獲得し、初回入荷分が即日完売するほど売れています。
わたしの友人も、一度使ったらほかのは使えないと絶賛しておりました。 ここに、彼らの「勝ち筋」が凝縮されています。ドライヤー(本体)を売って終わりではなく、カートリッジ(消耗品)で継続的に稼ぐ。プリンターのインクビジネスと同じ、極めて収益性の高いモデルを美容家電に持ち込んだのです。「1台売って数年音沙汰なし」のヤーマンに対し、「ドライヤーを入り口に、毎月美容液を送り届ける」Aiロボティクス。このビジネスモデルの差が、2026年現在の株価の位置の差になっているのです。
「スペック」ではなく「売り方」が勝負を分ける
ヤーマン、MTG、Aiロボティクス、この3社の戦い方を深掘りしてわかったことは、「技術力がある企業が勝つのではなく、顧客のルーティンを支配し、データを味方につけた企業が勝つ」という冷徹な事実です。ヤーマンが再び輝くには、製品の「スペック」ではなく「売り方の工夫」が必要でしょう。MTGが証明したように、誠実な経営と習慣の支配があれば復活は可能かもしれません。さらに、Aiロボティクスと戦うためには、プロダクト技術だけではなく、AIを経営に活用するスキルを取り入れる必要がありそうです。
と、ここまでヤーマンを批判するような記事を書いてしまいましたが、実際、わたしが毎日使っている美顔器はヤーマン製品です。もう3年以上使っていますが、ぜんぜん壊れそうにありません。消費者としては愛すべきブランドです。しかし投資家目線で見ると、LTV(顧客生涯価値)を意識せざるをえません。ここからヤーマンがどう挽回してくるか、その変容を期待したいと思います。
投資管理もマネーフォワード MEで完結!複数の証券口座から配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward HOME]