はじめに

「家を買うなら、住宅ローン減税で税金が安くなる」。

住宅ローン控除は、住宅取得時に使える代表的な優遇制度として、多くの人にとって“あって当たり前”の存在になりつつあります。しかし、その内容はたびたび見直されています。

2026年の税制改正の内容が明らかになり、住宅ローン控除が大きな転換点を迎える可能性が見えてきました。今回の改正は、「これから中古住宅を検討する人」には追い風となる一方、「新築を考えている人」には、これまで以上に慎重な判断を求める内容となっています。

住宅ローン控除の内容を正しく理解することは、住宅の選択肢を広げるだけでなく、将来の家計リスクを抑えることにもつながります。本記事では、2026年以降の住宅ローン控除の内容とともに、これからの暮らしを守るための住宅選びのポイントについて解説します。


2026年以降の住宅ローン控除の全体像

2026年以降の住宅ローン控除のポイントは以下のとおりです。

・利用期限は5年延長。2030年末まで利用可能に
・スタンダードは省エネ住宅へ。新築・中古を問わず、より高い環境性能の住宅を対象とする内容にシフト
・子育て支援を推し進める一方、床面積要件の緩和でおひとり様世帯も利用しやすく
・立地要件が新設。災害リスクの高い土地への新築を除外
・環境性能の低い新築住宅の利用に期限。利用できるのは2027年末までに

住宅ローン控除の内容は新築と中古でわけられており、要件も線引きされています。今回の改正内容は、中古住宅にはポジティブなものですが、新築住宅には厳しいものと言えそうです。新築と中古別に、詳しく変更点を見ていきます。

中古住宅は「期間延長」と「上乗せ」が追い風に

図表は『国土交通省令和8年度税制改正概要』『財務省令和8年度税制改正大綱の内容』より筆者作成

まずは、中古住宅に関する変更点を見ていきましょう。最も大きな変化は省エネ性能を持つ住宅であれば控除期間が延長される点です。中古住宅の場合、控除期間はこれまで10年間でしたが、認定住宅やZEH水準省エネ住宅など一定の性能を有する場合、13年間に延長されました。

くわえて、借入限度額も見直されています。省エネ基準適合住宅については、新築住宅と同じく1,000万円引き下げとなり2,000万円が基本となっていますが、ZEH水準省エネ住宅と認定住宅では、500万円上乗せされ3,500万円となっています。

また、子育て世帯や40歳未満の夫婦世帯の場合に利用できる借入限度額の上乗せも新たに加えられました。これまで中古住宅にはありませんでしたが、今回の改正により、新築住宅と足並みをそろえたかたちです。これにより、子育て世帯や40歳未満の夫婦世帯の場合、認定住宅等であれば借入限度額が最大で1,500万円増えることになり、受けられる減税額が100万円以上増やせる可能性があります。

床面積要件も緩和され、一定の要件を満たせば、40㎡以上で利用できるようになる見込みです。なお、床面積緩和の要件は、以下のとおりです。新築住宅と同様の内容です。

・合計所得金額1,000万円以下
・子育て世帯等の借入限度額の上乗せといずれかを選択利用

子育て世帯等の場合、借入限度額が上乗せとなることには触れましたが、借入限度額の上乗せと床面積要件の緩和はトレードオフとなります。どちらかしか利用することはできません。

特に夫婦二人世帯の場合は迷うところでしょう。後悔しない選択のためには、希望する間取りや住宅ローンの組み方、返し方といったライフプランが意思決定の重要な要素となりそうです。子育て世帯や40歳未満の夫婦世帯では特に、中古住宅も現実的な選択肢として検討しやすくなるでしょう。

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