はじめに

防衛力強化の所得増税【令和9年(2027年)から適用】

防衛力の抜本的な強化を行うための安定的な財源を確保するために、所得税額の1%にあたる新たな税金として「防衛特別所得税」(仮称)が課されます。

防衛特別所得税は、令和5年度の税制改正大綱に盛り込まれていましたが、家計への負担を考慮して課税が延期されていました。その税金が2027年1月から課されるようになります。防衛特別所得税の課税期間は2027年以降の「当分の間」となっています。

防衛特別所得税が課されるようになっても、新たな家計の負担は生じません。防衛特別所得税の増税に合わせて、東日本大震災の復興予算にあてている「復興特別所得税」を現行の2.1%から1.1%に引き下げ、防衛特別所得税と相殺させるからです。2026年までは「復興特別所得税2.1%」だったのが、2027年からは「復興特別所得税1.1%+防衛特別所得税1%=2.1%」になるので、税額は変わりません。

ただ、復興特別所得税は2037年末までを期限としていましたが、当初の税収を確保するために2047年末まで延長されます。防衛特別所得税がいつまで課せられるのかは現状わかりませんが、2038年以降については増税になったといえます。

防衛特別所得税と復興特別所得税のイメージ

(株)Money&You作成

住宅ローン減税延長、中古住宅の借入限度額拡充、床面積要件緩和【2030年末まで延長】

住宅ローン減税(住宅ローン控除)は、年末時点の住宅ローンの残高の0.7%を所得税から直接差し引ける制度です。所得税から引ききれない場合は住民税からも差し引けます(前年度課税所得×5%、最高9万7500円まで)。

住宅ローン減税の制度はたびたび延長され、制度も改正されています。今回の改正で、2025年末までだった同制度が5年間延長されて2030年末(令和12年末)までとなる予定です。

加えて、中古住宅の活用を促進するために、中古住宅を購入した場合の借入限度額の上限が引き上げられ、控除期間も10年から新築と同様の13年に延長。床面積要件も50平方メートルから40平方メートルへと引き下げられました。

19歳未満の扶養親族がいる「子育て世帯」や、40歳未満の夫婦または夫婦どちらかが40歳未満の夫婦の「若者夫婦世帯」の場合、借入限度額が引き上げられます。

一方で、2028年(令和10年)以降に新築で建築確認を受ける省エネ基準適合住宅については、住宅ローン減税の適用対象外になります(登記簿上の建築日付が令和10年6月30日までのものは適用対象)。新築を検討しているならば、注意しておきたいポイントです。

住宅ローン減税の借入限度額と控除期間

()内は子育て世帯・若者夫婦世帯の金額/(株)Money&You作成

NISAが未成年対象に【令和9年(2027年)以降】

投資で得られた利益(売却益・配当金・分配金)にかかる20.315%の税金を一生涯ゼロにできるNISA。2027年からは、NISAのつみたて投資枠の対象年齢が0歳まで拡充され、0歳から17歳までの未成年が利用できる「こどもNISA」が新設される予定です。

こどもNISAは、つみたて投資枠の一部の扱いで、年間投資枠60万円、非課税保有限度額600万円まで投資ができます。18歳以上のNISAより投資できる枠は少なく設定されていますが、この範囲での投資であれば利益を非課税にできます。18歳になったら、こどもNISAの資産はつみたて投資枠に自動的に移行されます。

2027年からのNISA

(株)Money&You作成

こどもNISAの資産は、12歳以降一定の条件を満たせば引き出せるようになる予定です。かつてNISAにあった「ジュニアNISA」では、原則として18歳になるまで資産を引き出せませんでした。12歳から引き出すことができれば、資金を大学受験だけでなく、中学受験でも利用できるでしょう。

金融庁の資料には「資金の使途が子のためのものであり、子が払出しに同意したことを示す書面とともに、親権者等(口座管理者)が申出書を金融機関に提出する」と、12歳以降引き出しができるようになるとあります。

「子のため」がどの範囲を指すのかはまだわかりません。子と旅行をしたり、子にプレゼントを買ったり、さらにはおこづかいとしてあげたりするのも、広い意味では「子のため」といえますが、細かい領収書や使途明細書などの提出が求められるようなら使い勝手の悪い制度になります。

祖父母や父母から30歳未満の子・孫に教育資金を贈与する際、1人につき1500万円まで非課税になる制度「教育資金の一括贈与」は、2026年3月末をもって廃止されることになりました。理由として、利用が伸び悩んだことが挙げられていますが、学校等や学校等以外に支払った証拠となる領収書・明細書の提出や、教育資金口座からの引き出しと同じ年に支払われた証明が必要など、手続きが煩雑だったことが伸び悩んだ主要因です。こどもNISAはぜひシンプルなルールで使いやすい制度にしていただきたいものです。


税制改正大綱に記載された案は、例年2月ごろに国会に関連法案として提出され、3月末に成立、新年度の4月から施行されるのですが、今年は衆議院の解散も見込まれているので、少々不透明です。引き続き改正動向をチェックしましょう。

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