はじめに
近年、金(ゴールド)の価格は歴史的な高騰を見せています。世界的な金融緩和、インフレ、そして地政学的な緊張の高まりが重なり、「有事の金」としての存在感が強まっています。高値更新後の調整局面のニュースを目にして、投資に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
資産防衛という本来の目的を見失わないためにも、冷静な判断をするための金投資の基礎知識でご自身にあった投資方法を見つけましょう。
冷静な金投資のために基本を押さえる
近年、金(ゴールド)の価格は歴史的な高騰を見せています。高値圏で推移しているニュースを目にして、「今からでも間に合うだろうか」「もっと上がるのではないか」と投資を検討し始めている方も多いのではないでしょうか。
しかし、価格が高騰している局面こそ、冷静な基礎知識が必要です。金は「有事の金」と呼ばれるように、資産を守るための最後の砦としての性質を持ちますが、一方で株式や債券とはまったく異なるリスク特性も持っています。まずは基礎知識を整理し、投資方法を確認していきましょう。
金価格が「上下する」要因
金は世界中で価値が共通する「無国籍通貨」とも呼ばれますが、その価格は日々変動しています。まずは価格を左右する主な要因を整理しましょう。
1. 円安の影響
金は国際的に「米ドル建て」で価格が決定されます。そのため、本来は「ドル安になれば金が買われ、ドル高になれば金が売られる」という逆相関の関係が基本です。しかし、日本は歴史的な円安の進行により、ドル建てと円建てでの金価格の乖離(かいり)が発生しました。
2021年初頭、米ドル円相場は1ドル=110円前後で推移していましたが、2022年から2024年にかけて円安が加速。1ドル=150円〜160円台へと突入したことで、円建ての金価格はドル建て価格の上昇率を大幅に上回るスピードで高騰しました。そのため、2021年~2023年ドル建ての金価格が一時的に横ばい、または下落の時期でさえ、日本では「円安による押し上げ効果」によって国内価格が最高値を更新し続けました。
2. 地政学的リスクとインフレ
戦争や紛争、経済危機など「先行き不透明な事態」が起きると、「無国籍通貨」とも呼ばれるように、信用リスクのない金に資金が逃避します。また、物価が上がるインフレ局面では、紙幣の価値が目減りするため、実物資産である金の価値が維持されやすくなります。
3. 中央銀行の買い越し
近年、新興国を中心とした中央銀行が、米ドルへの依存度を低めるために外貨準備として金を大量に購入しています。この「公的な需要」が価格の下支えとなっています。
4. 「買いが買いを呼ぶ」市場心理の構造
さらに昨今は、こうしたファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に加え、買いが買いを呼ぶ構造が強まっている点に注意が必要です。メディアで「最高値更新」と報じられることで、小型金地金の購入者が殺到し、製造が追いつかず販売一時停止となる事態も発生しました。これまで投資に無関心だった層も「乗り遅れてはいけない」という心理から参入し、実体経済以上の価格高騰を招くことがあります。