はじめに
国策・金融・脱デフレ・海外要因・企業変革に見る5大潮流

ここからは、今後の相場について、押さえるべきポイントをお伝えします。
短期的な熱狂を超えて、国策、金融、脱デフレの潮流、海外要因、そして企業経営の変革という、日本株を根底から押し上げる「5つの構造変化」に焦点を当て、投資戦略の確度を高めるための視点を解説します。
ポイント1:【積極財政】「一過性」から「継続的な前提条件」への転換
積極財政が「一過性の景気対策」ではなく、「相場の前提条件」になりました。これまでの積極財政は、選挙前後の時限的な対策にとどまるケースが多く、企業も慎重な姿勢を崩せませんでした。しかし今回の防衛、国土強靭化、GX(グリーン・トランスフォーメーション)、DX、半導体投資、少子化対策、地方創生といった政策は、いずれも単年度で完結する性質のものではありません。
複数年にわたる予算措置を前提としており、企業が中長期の事業計画を立てやすい環境が整っています。企業にとって重要なのは、一時の補助金額ではなく、需要が続くかどうかです。株式市場では、この「利益の予見性」が評価を押し上げる最大の要因になります。
ポイント2:【金融政策】「コントロールされた金利上昇」は経済正常化の証
金融政策と金利の捉え方も重要です。長期にわたる超金融緩和の出口が意識され、長期金利は緩やかに上昇しています。
しかし、利上げを単純に株式市場のマイナス要因と決めつける必要はありません。急激な利上げは確かに株価の逆風になりますが、市場が織り込んでいるのは、コントロールされた緩やかな正常化です。積極財政と同時に金融引き締めを強く進めることは、現実的ではありません。市場もそれを理解しており、多少の利上げは「経済が正常化している証拠」として前向きに受け止められやすい環境にあります。金融環境が急激にタイト化しない限り、日本株のバリュエーションが一気に崩れるリスクは限定的だと考えます。
ポイント3:【脱デフレ】スローガンから「実感を伴う構造変化」へ
脱デフレが、スローガンから実感を伴う変化へと移りつつあります。長年、日本経済はデフレマインドに縛られてきました。価格は上げられず、賃金も上がらない。その結果、内需は伸び悩み、日本株は常に割安とされながらも評価されにくい市場でした。
しかし足元では、その構造が明確に変わり始めています。春闘での賃上げが単年のイベントに終わらず、人材投資として定着し始めていること。価格転嫁が以前よりも受け入れられやすくなっていること。これらは一過性のインフレではなく、経済構造の変化を伴う動きです。積極財政が下支えとなり、企業収益が改善し、賃金が上がり、消費が動く。この循環が見え始めたことは、日本株にとって極めて大きな意味を持ちます。
投資家の視点で見れば、長年続いてきた「日本は割安感があることが普通である状況」が変化していくプロセスだと考えられます。今年の春闘の結果を注視したいところですし、また実質賃金が上昇したと確認ができることが脱デフレには必須のポイントかと思います。