はじめに

もうすぐ春、進級・進学のシーズンですね。お子様の成長を喜ぶ一方で、新学期の準備をしながら「これからの教育費」や、その先にある「自分たちの老後資金」について、ふと不安を覚えるタイミングではないでしょうか。

そんな時、親世代や職場の先輩から「今は大変でも、貯め時が来るから大丈夫」と励まされたことはありませんか?

かつての日本には、確かに「人生の3つの貯め時」がありました。「就職〜結婚までの独身時代」「結婚から子どもが小学校に入学するまでの時期」「子どもの独立から定年まで」の3つです。しかし、この30年で私たちのライフスタイルはもちろん、雇用形態や経済環境は激変しました。「貯め時に貯められたか?」という調査では、どの時期も約半数が「貯められなかった」と回答しています。もはや、「貯め時を待つ」戦略はリスクです。

この記事では、「貯め時」が現代では訪れにくい背景を解説するとともに、NISAやiDeCoを活用して「時間を味方にお金を育てる」ことの重要性についてお伝えします。


「3つの貯め時」に貯められた人は半数だけ

「貯め時に貯められましたか?」——終活瓦版が実施した「人生の3つの貯め時に関する調査」(2024年11月/子どものいる40代以上の男女200名対象)によると、意外な結果が明らかになりました。

第1の貯め時(独身時代):48%が「貯められなかった」
第2の貯め時(結婚〜子どもが小学生まで):56%が「貯められなかった」
第3の貯め時(子どもの独立後〜定年まで):51%が「貯められなかった」

どの時期も、約半数が「貯め時」を活かせていなかったのです。では、なぜ貯められないのか?調査に寄せられた声と、その背景にある構造的な問題を見ていきましょう。

第1の貯め時:独身時代(就職〜結婚)

調査では「貯められなかった」理由として、次のような声が寄せられています。


・「奨学金の返済などで貯まらなかった」
・「趣味や遊びに使いたいだけ使っていた」
・「就職先が安定していなかった」「転職を繰り返していた」


こうした声の背景には、現代ならではの構造的な問題が見えてきます。

ひとつは奨学金の重荷です。日本学生支援機構「令和4年度学生生活調査」及びあしなが育英会「大学生の奨学金事情」によると、全大学生(学部生・昼間部)の奨学金受給率は1996年の21.2%から2022年には55.0%へと急増しました。社会人のスタートが「ゼロから」ではなく「マイナスから」になるケースが増えています。

もうひとつには独身期間の長期化が挙げられます。厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計」によると、平均初婚年齢は1995年の男性28.5歳・女性26.3歳から、2024年には男性31.1歳・女性29.8歳へと上昇しています。晩婚化が進む中で、交際費・趣味・自己投資といった支出が長期間にわたって積み重なりやすい構造になっているのです。

第2の貯め時:子育て前半(結婚〜子どもが小学生まで)

続いて、第2の貯め時に寄せられた声を見てみましょう。


・「マイホームを新築して、ローン返済を優先した」
・「幼稚園から私立の一貫校に通わせた」
・「正社員をやめパートになり世帯収入が下がった」


こうした声の背景には、教育費の前倒しがあります。かつて教育費の本番は高校・大学でしたが、中学受験を視野に入れる家庭では、小学校低学年から塾通いを始めるケースが増えています。

さらに事例にある「世帯収入減」のほかに、共働きを支えるためのコストも見逃せません。中食・外食や家電、保育料、さらには「形を変えた保育料」ともいえる習い事費用など、収入増を相殺してしまう構造があります。

第3の貯め時:子育て終了後(子どもの独立後〜定年まで)

最後に、第3の貯め時です。この時期は「人生最後の貯め時」とされてきましたが、どんな声があったのでしょうか。


・「母親の介護費用でそれどころではなかった」
・「子どもの独立が遅かった」
・「定年前であるがお給料が減っている」


現代では、この時期に複数の問題が同時に重なるようになっています。

背景にあるのは、長寿化・晩婚化・給与体系の変化です。親世代の寿命が延びていることで介護期間が長期化し、自身の老後準備と重なりやすくなっています。また、晩婚化の影響で子どもの独立が遅れ、教育費の終了が定年直前、あるいは定年後にずれ込むケースも増えています。さらに、役職定年制度により、最も貯めたい50代後半で給与が下がる人も少なくありません。

かつては「子どもの独立→短期間の介護→定年」と順番にライフイベントが訪れたため、最後に「貯め時」が確保できました。しかし令和は「教育費・介護費・給与減」が50代で同時に押し寄せ、貯め時そのものが消滅しつつあるのです。

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