はじめに
投資の前に、保険と住宅ローンを見直そう
投資を始める前に生活を守る保険を見直ししておく必要もあります。万が一ご自身が亡くなった際に家族を守る死亡保険や病気、けがでの医療費負担や収入の減少に備える医療保険や収入保障保険、火災や地震に備える火災保険などは多くの方にとって検討しておきたい保険です。
保険を考える際には、公的保険での給付だけでは不足する部分を民間保険で補っていきます。すると医療費など国の健康保険制度での補償が手厚い場合、民間保険は不要あるいはごく少額でも大丈夫といった判断ができます。
死亡保障を考える際には、国の遺族年金はお勤め先、年齢、家族構成等により給付される額が変動するため、より注意深く情報を確認する必要があります。また生涯にわたる保障を考える場合には、インフレにより必要な保障額も増えることもあり、民間の変額保険なども検討に値します。
住宅ローンなど借入がある方も投資を増やす前に状況確認が必要です。特に変動金利で借りている方は、今後金利が上昇する度に返済負担が増えていきます。住宅ローンには、5年ルール、125%ルールがあり、金利の上昇リスクが一見すると抑えられているように見えますが、実際には返済負担がじわじわと迫ってくるのが変動金利です。
「5年ルールにより5年間は毎月の支払い額が変わらない」「125%ルールによって、大幅な金額見直しはない」と油断せず、見えにくい金利負担に注意を払う必要があります。
日本よりインフレが厳しい米国においては、30年固定ローンが主流で、固定金利を選ぶのが一般的とも言われています。インフレ時は金利上昇が伴うことが多いため、インフレに対抗するために、借入は固定金利で上昇リスクを抑えます。借入は固定金利を選択する一方で、株式などでの運用は積極的に行います。まさにこれが家計のインフレ対策としての基本ルールとされています。長らくデフレが続いた日本の場合、住宅ローンは変動金利を選び、資産形成は預金で行うことが定番でしたが、そろそろしっかりインフレ対抗へ舵を切る必要があるでしょう。
投資により住宅ローンの金利負担を賄えると考える方も少なくないかも知れませんが、借入額が大きい場合は、固定金利に切り替えるなり対応を急いだ方が良い場合もあります。
NISAやiDeCoを活かす「全体最適」の考え方
資産形成に注目が集まるようになり、投資に前向きな方が増えてきているのは良いことだと思いますが、「投資」だけに意識が向いてしまうのは感心できません。家計全体を見渡しながら長期にわたり経済の成長恩恵を受けられるような体制作りをした上で取り組むべきでしょう。
ついつい、何に投資をしたら良いか、いくら投資をしたら良いかといった部分最適にばかり目が行きがちですが、本当に大切なのは全体最適ではないかと考えます。全体最適ができると、iDeCoやNISAの使い分け、それぞれの非課税口座で選ぶべき投資信託の方針も決まりやすくなります。もちろんiDeCoは60歳以降の老後資金として利用するのが最も効率が良いのですが、全体最適を行うことにより、人生のお金の用途の解像度がずいぶんと上がってきます。そうなれば、ここはNISAを優先していこうなどといった選択がしやすくなります。
また、より長期で運用できる口座で新興国含む世界の株式に投資をする投資信託を選び、受取時期が近くなったら債券を中心とした投資信託にしよう、といった考え方もできるようになります。あまり投資リスクを取りたくないからと、iDeCoでは元本確保型を選びながら、住宅ローンは変動金利でインフレリスクにさらされているといったアンバランスは避けたいものです。
投資を始める前に、「生活費の何ヶ月分を現金で持っているか」「5年以内に使うお金はいくらか」を一度書き出してみるだけでも、家計の全体像が見えてきます。ご自身の家計の全体最適化、ぜひ意識してみてください。
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