はじめに

「会社員は確定申告とは無縁」というのは、もはや過去の話です。副業の普及、ふるさと納税の浸透、住宅ローン控除初年度や医療費控除など、今や多くの会社員が自分で確定申告を行う時代になりました。

一方で、会社員は年末調整によって所得税の精算が行われるため、その仕組みがかえって思い込みや入力漏れを招くケースも少なくありません。

期限直前の今だからこそ確認しておきたい、会社員がやりがちな勘違いと還付漏れを防ぐチェックポイントを解説します。


年末調整後に確定申告をする際の大前提

会社員の多くは、勤務先で年末調整を行うことで所得税の精算が完了します。しかし、すべての控除や手続きが年末調整だけで完結するわけではありません。ふるさと納税や医療費控除などのために、年末調整後に自分で確定申告を行う必要のあるケースもあります。

確定申告に慣れていない会社員に多いのが、「年末調整でやったことは、確定申告では入力しなくていい」という思い込みです。例えば、会社の年末調整で「生命保険料控除」や「小規模企業共済等掛金控除(iDeCo)」を正しく申告していたとします。しかし、ふるさと納税の寄付金控除を受けるために確定申告書を作成する際に、これらの控除情報の入力を漏らしてしまうと、税務署は「この人はこれらの控除を申告していない」と判断します。結果として、本来受けられるはずの還付が受けられないだけでなく、場合によっては追加で税金を納める必要が出ることもあります。

ここで覚えておきたいのが、「確定申告書を提出すると、年末調整の結果は一度リセットされ、確定申告書の内容が最終的な申告内容として扱われる」という点です。確定申告をする場合は、年末調整で申告した控除も含めて改めて入力する必要があります。

会社員が特に注意したい3つのポイント

ここからは、確定申告で会社員が特に注意したい代表的なポイントを3つ紹介します。

1. 社会保険料控除の入力漏れに注意

会社員の場合、給与から社会保険料が天引きされており、年末調整においても自身で入力する必要がないため、「社会保険料控除は自動的に反映されている」と思いがちです。しかし、次のようなケースでは、自分で入力しないと控除を受けることができません。

・年度途中の転職や退職により、自分で支払った国民健康保険や国民年金保険がある
・生計を一にする家族の国民年金保険料を負担している

また、社会保険料控除額そのものを入力し忘れてしまうケースもあります。年末調整では自身で入力する機会がないため、意識しにくい項目かもしれません。しかし、社会保険料控除は控除額が大きいため、入力漏れがあると本来よりも税金が高く計算され、追加納税が発生する可能性があります。

入力漏れを防ぐためには、e-Taxの便利な機能を活用するのもおすすめです。スマートフォンでe-Taxの確定申告書作成を行う場合、源泉徴収票をカメラで撮影すると記載内容が自動で入力される機能があります。また、マイナポータル連携を利用すると、源泉徴収票のデータを取得し、該当項目に自動入力することも可能です(※勤務先が税務署にe-Taxで源泉徴収票を提出していること等の要件あり)。

2.「ワンストップ特例」の無効化に要注意

ふるさと納税でワンストップ特例制度を利用している場合でも、確定申告を行うと、それまで提出したワンストップ特例の申請はすべて無効になります。そのため確定申告をする場合は、ワンストップ特例を申請した分も含めて、寄付金控除を改めて申告する必要があります。この点を知らずに申告すると、ふるさと納税の控除が一切反映されず、すべて自己負担の寄付になってしまう可能性があります。

なお、ふるさと納税の寄附金受領証明書についても、マイナポータル連携を利用することで、証明書データを取得し、該当項目に自動入力することができます。

3.医療費控除は「世帯合算」がポイント

「医療費控除は領収書を全部集めて計算しないといけない」と思っている方も多いかもしれませんが、現在はマイナンバーカードを利用することで、医療費の情報を簡単に確認できます。

マイナポータル連携を利用すれば、医療機関や薬局で支払った医療費の情報が自動集計され、確定申告画面に反映されます。マイナポータルでは、1年間の医療費(保険診療分)をまとめて確認できるため、医療費控除の対象かどうかの判断もスムーズです。ただし、自費診療で控除対象となる医療費や、通院の交通費など、保険診療外の費用は手入力で計上する必要があります。

また、医療費控除は「世帯で合算して申告できる」点も重要なポイントです。

例えば、
夫の医療費:5万円
妻の医療費:7万円
子どもの医療費:4万円

この場合、世帯全体では合計16万円となり、医療費控除の基準である10万円(※その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5パーセントの金額)を超えるため、控除の対象になります。さらに、所得が高い人がまとめて申告する方が節税効果は大きくなるため、共働き世帯では誰が申告するのが有利かを確認しておくとよいでしょう。

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