はじめに

「投資は怖いから、やらないほうが安全」と考える人は少なくありません。確かに投資には値動きのリスクがあります。ですが、物価が上がる局面では、現金だけを持ち続けることにも別のリスクがあります。相場が揺れやすい今だからこそ、大きく勝つ発想ではなく、資産の価値を守るために何をすべきかを考えることが重要です。


投資しないことも安全とは限らない時代

「投資はリスクがあるからやらない方がいい」。そう考える方は少なくありません。確かに、価格が上下する金融商品に資金を投じる以上、損失が発生する可能性は常にあります。しかし、現代の経済環境においては、「何もしない」という選択そのものが、見えにくい大きなリスクになりつつあります。

現金だけでは資産価値が目減りする現実

世界的にインフレ圧力が完全に収まったとは言えない状況が続いています。コロナ禍以降の大規模な金融緩和に加え、地政学リスクによる資源価格の変動や、人手不足を背景とした賃金上昇圧力が重なり、物価は以前よりも高い水準で推移しています。日本においても、長らく続いたデフレ環境からの転換が進みつつあり、賃上げと物価上昇が同時に起こる局面に入っています。2025年の日本の消費者物価指数(総合指数)は、前年比3.2%上昇しました。
出典:総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)平均」(2026年1月23日公表)

ここで重要なのは、インフレになると生活費が上がるだけでなく、現金のまま持っているお金の価値も実質的に下がっていくという点です。仮に年率3%のインフレが続いた場合、現在の100万円の実質価値は10年後には約74万円、20年後には約55万円、30年後には約41万円程度にまで低下します。価格が急落したわけでも、市場で何かが起きたわけでもないのに、ただ何もせずに現金を持ち続けただけで、静かに、しかし確実に価値や購買力が削られていくのです。

見えにくい損失ほど対処が遅れやすい

この「静かな損失」は、株価の暴落よりも気づきにくく、対処が遅れやすいものです。株価の急落はニュースになり、不安もはっきり意識されます。一方、インフレによる資産の目減りは日常に溶け込みやすく、危機として認識しにくいものです。だからこそ、長期で見ると、「投資をしない」という選択は必ずしも守りではありません。むしろ、資産を増やすためだけでなく、資産価値を維持するために投資を考える必要が高まっている時代だと言えます。

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