はじめに

高齢になると、どうしても病気が心配になります。中高年でも加入できる医療保険のテレビCMを見て、「保険料もそれほど高くないし、入ったほうがいいのでは?」と感じる方も多いでしょう。

たしかに、年齢が上がるにつれて病気やケガのリスクは高まり、入院日数も長くなる傾向があります。そう考えると、「高齢者こそ医療保険が必要」と思えてきますが、私は必ずしもそうではないと考えています。


高齢になると病気の確率は上がるが…

これまで何度か、「医療保険の優先度は高くない」と書いてきました。高齢になるほど病気になりやすく、医療費も増えます。それでもなお、高齢者にとって医療保険の優先度は低いと考える理由があります。

それは、公的医療制度によって自己負担額が抑えられているからです。

確かに高齢者の医療費総額は高額です。現役世代の保険料で支えられているため、制度の持続性が議論されており、2022年には後期高齢者医療制度が改正され、一定の所得がある人は自己負担が1割から2割になりました。今後、負担増の可能性はありますが、それでも自己負担には上限があります。

高齢者の医療費、自己負担額はどのくらい?

では、実際に高齢者はいくら医療費を自己負担しているのでしょうか。厚生労働省の統計(令和4年度)を見てみましょう。

まず、現役世代の例として30代を見てみます。30代前半の年間医療費は14.3万円、自己負担額は年間3.2万円です。30代後半の年間医療費は15.6万円、自己負担額は年間3.5万円となっています。

次に、70歳以降を見ていきましょう。70代前半では年間医療費が61.6万円と高額になりますが、自己負担額は7.3万円です。

そのほかの年代は以下の通りです。

・70代後半:年間医療費77.3万円、 自己負担額は年間7.0万円
・80代前半:年間医療費92.2万円、 自己負担額は年間7.9万円
・80代後半:年間医療費107.1万円、自己負担額は年間8.7万円
・90代前半:年間医療費117.9万円、自己負担額は年間9.0万円
・90代後半:年間医療費125.8万円、自己負担額は年間8.9万円
・100歳以上:年間医療費123.2万円、自己負担額は年間8.3万円

このように、年齢が上がるにつれて医療費は増加していきますが、「医療保険がないと生活が破綻する」という水準ではありません。また、現役世代が高齢者の医療費を支えていることも分かります。ただし、現役世代もいずれ高齢者となり、支えられる側になるため、一概に不公平とはいえません。

自己負担を抑えている高額療養費制度

自己負担が抑えられている理由の一つが、高額療養費制度です。

70歳以上で一般的な所得(年収156万~約370万円)の場合、外来は月1万8,000円(年間上限14万4,000円)、入院+外来では月5万7,600円が上限となります。

住民税非課税世帯の場合、外来の限度額は月8,000円になり、入院と外来の合計は月2万4,600円(年金収入80万円以下は1万5,000円)です。現役並み所得者は上限が高くなりますが、70歳以上で該当する人は少数派でしょう。

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