はじめに
2026年4月から、健康保険料に上乗せする形で徴収が始まる「子ども・子育て支援金」。給与明細を見て「また社会保険料が増えた?」と感じる人が出てくるかもしれません。
この制度は、「子育て世帯だけに関わるもの」と思われがちですが、実際には会社員や個人事業主、さらには高齢者まで、すべての医療保険加入者が広く財源を負担する仕組みです。
実際のところ、どれくらい負担は増えるのでしょうか。本記事では、年収500〜600万円のモデルケースをもとに、会社員・共働き・個人事業主など立場別に「月いくら引かれるのか」をシミュレーション。さらに、その負担がどのような子育て支援制度に使われるのかも整理しながら、新しい社会保障の仕組みを解説します。
子ども・子育て支援金制度とは?
子ども・子育て支援金制度は、少子化対策を目的として創設される新たな財源の仕組みです。背景には、日本で急速に進む少子化があります。厚生労働省が2026年2月に公表した人口動態統計によると、2025年に生まれた子どもの数(外国人を含む)は70万5809人。前年比2.1%減となり、10年連続で過去最少を更新しました。国の将来推計より約17年早いペースで少子化が進んでいるとされ、対策は待ったなしの状況です。少子化対策は子育て世帯だけの問題ではなく、将来の社会保障や経済を支える「社会全体の課題」とも言えます。
こうした中で創設されたのが、「子ども・子育て支援金制度」です。大きな特徴は、税金ではなく医療保険料に上乗せする形で徴収される点にあります。対象となるのは、会社員、公務員、個人事業主、フリーランス、そして一定以上の所得がある75歳以上の後期高齢者など、日本の公的医療保険に加入しているほぼすべての人です。
徴収は2026年4月(会社員の場合、5月の給与から天引きスタート)から段階的に始まります。2028年度にかけて徐々に満額徴収へと引き上げられ、政府の試算で1人あたり平均月450円程度の負担になるとされています。実際の金額は加入している医療保険や所得水準によって変わります。
立場別:年収500〜600万円の負担シミュレーション
では、実際にどの程度の負担になるのでしょうか。ここでは、こども家庭庁の資料をもとに、年収400万円と600万円のケースで負担額を見ていきます。ここで紹介する金額は、こども家庭庁が2021年度の総報酬をもとに機械的に試算したものです。実際の負担額は変わる可能性がありますが、目安として参考にしてください。

「月1,000円程度なら……」と思うかもしれませんが、年間では1万2,000円の支出増です。年収が高ければ、さらに負担は増えます。また、共働き夫婦の場合は双方が被保険者となるため、家計全体では2人分の負担になります。例えば、年収400万円と600万円の夫婦の場合、2028年度以降の家計への負担は年間で約2万円程度です。
会社員の場合、この支援金は給与だけでなくボーナスからも徴収されます。一方で、健康保険料と同様に育児休業中は免除される仕組みです。
次に個人事業主・フリーランスをみてみましょう。

国民健康保険加入者の場合、自治体によって計算が異なりますが、全国平均の試算では年収600万円の場合、年間1万円弱の負担になります。そして、保険額が変更になるのは、会社員より少し遅れて2026年6月頃に届く「国民健康保険料 納税通知書」からになります。
このように見ると、月額では決して大きいものではありませんが、継続する手取りの減少としてじわじわ実感するものになりそうです。