はじめに
「積立投資は放置が正解」という言葉通り、2024年の新NISA開始時に設定した内容をそのままにしていませんか? 確かに、短期的な相場に一喜一憂せず持ち続けることは大切です。しかし、設定以来一切手を付けない「完全なほったらかし」が、将来の資産形成において機会損失を生んでいるかもしれません。
特に4月は、一年のうちで最もNISAの「健康診断」に適したタイミングです。なぜなら、多くの企業で昇給や手当が確定し、「投資に回せるお金」が増やせる可能性がある時期だからです。
新年度の慌ただしさが落ち着いた段階で、一度設定を見直してみませんか? わずか10分の手間が、10年後、20年後の資産額に大きな差を生むことになります。
【点検1】「入金額」の再調整:昇給分を無意識に使い切る前に
NISA見直しの第一歩は、入金額の検討です。2年前に設定した「月○万円」という金額は今のあなたの家計にとって本当に最適でしょうか?
昇給して手取り額が増えると、つい「少し良いランチを食べよう」「欲しかった服を買おう」と、増えた分をそのまま消費に回してしまいがちです。これを「生活水準のインフレ」と呼びますが、問題なのは一度上げた生活レベルを後から下げるのは困難だということ。
昇給が確定した直後の今、増えた分の一部を「最初からなかったもの」として投資に回してしまうのが、最もストレスなく資産を増やすコツです。
まずは4月の給与明細を確認しましょう。昨年の手取り額と比較して増えた分のうち、今の家計や生活環境を踏まえて無理なく積立に回せる金額を算出します。
5,000円をNISAの積立額に上乗せ設定し、残りの5,000円は生活の潤いや近い将来の出費のための貯金へ。
このように「増えた分の一部を投資に回す」仕組みを作ることで、ストレスなく入金力を高めることができます。
毎月5,000円の増額でも、20年運用すれば元本だけで120万円の差になります。運用の複利効果が加わればその差はさらに広がります。2年前の「なんとなく」の金額で満足せず、今のあなたの家計状況に見合った入金額へアップデートしましょう。
【点検2】「銘柄」の再確認:2年前の“とりあえず”は今の自分に最適か
入金額が決まったら、次は銘柄のチェックです。2024年の開始時、「SNSで人気だから」「みんなが買っているから」と、深く考えずに特定の銘柄を選びませんでしたか?
2年前、多くの人が「全世界株式(通称:オルカン)」や「全米株式(S&P500)」で投資をスタートしました。これらは資産形成の王道ですが、当時の自分と今の自分では、投資に対する「リスクの取り方(許容度)」が変わっている可能性があります。
この2年間、相場が比較的堅調だったため、多くの人の資産はプラスになっているはずです。しかし、もし明日、資産が30%減少しても、夜ぐっすり眠れるでしょうか? 答えがNOなのであれば、安定感のある資産(債券など)を組み合わせるなどの検討も必要です。
2年前よりも貯蓄が増え、心に余裕ができたなら、成長投資枠を利用したETFや高配当株など積極的な運用を検討しても良いかもしれません。逆に、教育費の支払いや住宅ローンの開始が近づき、「絶対に減らしたくないお金」の割合が増えたなら、一部を現金化するなどの対応も必要になってくるでしょう。
運用益が出ている状況では、つい「もっと増やしたい」と強気になりがちです。しかし、投資のゴールは「増やすこと」ではなく、「必要な時に、必要なお金がある状態を作ること」です。4月の節目に、以下のライフイベントを想像してみましょう。
5年以内に使う予定があるお金:高校・大学の入学金や、車の買い替え、住宅の頭金など。これらは運用益が出ている今のうちに、一部を現金化したり、値動きの少ない銘柄へシフトしたりする「出口」への準備を始める時期かもしれません。
10年以上先に使うお金:老後資金などは、引き続き株式中心の運用で成長を狙うのがセオリーです。
「長く持つ」のが積立投資の基本ですが、ただ放置するのではなく、「いつ、何に使うためのお金か」という目的に合わせて銘柄の役割を再定義しましょう。「とりあえず」の設定を、今のあなたのライフステージに合わせて最適化させる。これが、4月に行うべき2つ目のメンテナンスです。