はじめに

株価が急落すると人気が高まるETFがあります。「ダブルインバース」と称される商品です。なぜ、ダブルインバースETFが人気なのか、実際に投資する際の注意点は何かを解説します。


ダブルインバースの仕組み

ダブルインバースとは、インデックスファンドの一種です。インデックスファンドは、たとえば日経平均株価や東証株価指数、S&P500といった株価インデックスに対して、ほぼ同じ値動きをするファンドのことですが、インバースはほぼ逆の値動きをします。たとえば日経平均株価が5%値下がりすると、インバースは5%程度値上がりします。

「ダブルインバース」は、その名の通り、指数の下落率に対して2倍の率で反対方向に動きます。たとえば日経平均株価が5%下落すれば、ダブルインバースは10%程度の値上がりが期待できる仕組みです。

ダブルインバースのファンドには、投資信託とETF(上場投資信託)の2種類があります。どちらも基本的な値動きの性質は同じですが、機動性には大きな差があります。

投資信託の場合、終値でしか基準価額の計算が行われず、かつ基準価額でもって追加設定・解約が行われます。そのため、たとえば今日の寄付き(取引開始時に最初に付く価格)から株価が急落したとしても、その終値でしかファンドを買うことができず、今日1日の下落分を取り損ねてしまいます。

これに対して、ETFは上場投資信託なので、株式と同様に取引時間中の取引価格で売買ができます。つまり今日、寄付きから株価が下落している時に買えば、終値ではなく、その時の市場価格で買うことができるのです。

短期売買を基本とすべき理由

ダブルインバースETFは、保有している株式ポートフォリオが株価下落の影響を受けそうな時に買っておくと、値下がりリスクを多少なりとも軽減できます。

たとえば、保有している株式ポートフォリオの評価額が500万円だったのが、株価の下落で5%、値下がりしたとします。この場合、500万円の評価額が475万円にまで目減りしてしまいます。つまり25万円の損失です。

この時、ダブルインバースETFを200万円分買っておくと、5%×2倍で、理論上は10%上昇することになります。200万円の10%は20万円ですから、25万円の損失分のかなりの部分を、ダブルインバースETFの値上がり益によってカバーできます。

ただし、ダブルインバースETFを購入する場合は、いくつか留意しておかなければならない点があります。

2倍の率で逆方向に動くのは事実ですが、それはあくまでも「前日の終値」に対して2倍に動く点です。日経平均株価が5%値下がりしたとして、当然、ダブルインバースETFの価格は10%上昇するわけですが、そこから相場が上がったり、下がったりを繰り返すうちに、徐々に2倍という連動率が薄まってしまうのです。

ダブルインバースETFは、超短期の株価急落には効果を発揮しますが、長期保有には向きません。1年間で10%値下がりしたとしても、ダブルインバースETFの価格が20%値上がりするようなことにはならないのです。あくまでも前日の終値に対して2倍の連動率ですから、値上がり、値下がりを幾度となく繰り返して1年が経過すると、1年間の株価変動率に対するダブルインバースETFの値動きには誤差が生じてしまいます。

ダブルインバースETFで、保有しているポートフォリオの値下がりリスクを軽減させたい時には、あくまでも短期間の株価下落局面でのみ保有するのが、正しい使い方なのです。

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