はじめに

最近、「フィジカルAI」という言葉を耳にする機会が増えてきました。

フィジカルAIとは、AIがロボットや機械を自律的に制御する技術のことです。今後、工場や家庭向けの自律的な人型ロボットの開発が加速すると見込まれています。また、自動運転車がセンサーからの情報をリアルタイムで分析し、周囲の状況に応じた安全な意思決定を行うためにも欠かせない技術です。

国策としての動きも活発です。政府は国産AIの開発に5年間で1兆円規模の支援を計画していることが、2025年12月末に判明しました。日本が強みを持つ製造業などの産業データを生かして基盤モデルを開発し、企業に開放することで、各産業の用途に応じて活用できるようにする狙いがあります。

さらに2026年3月、経済産業省が公表した「半導体・デジタル産業戦略の今後の方向性」の中で、米中に並ぶ第三極として世界シェア3割超を獲得し、2040年に20兆円の市場獲得を目指すことが明記されました。AIロボットに限らず、フィジカルAIは現実世界で作用するあらゆる機械に実装されるポテンシャルを秘めているため、自動運転車、自律ドローン、FA(工場自動化)などの市場獲得も同時に目指す方針です。

こうした巨大なポテンシャルと国策の追い風を受け、株式市場でも関連銘柄への関心が高まっています。そこで今回は、注目のフィジカルAI関連企業を4社紹介します。


【ソフトバンクグループ】孫会長も意気込み。大規模投資に動く

ソフトバンクグループ(9984)は、通信事業や、世界中のテクノロジー企業への大規模な投資事業などを展開する企業です。

同社は2025年11月に、スイス重電大手ABBからロボット事業を約8,000億円で買収しました。ABBは世界の産業用ロボット市場で2~3位のシェアを持つ企業です。孫正義会長は同社を買収した際に、「当社の次のフロンティアはフィジカルAIだ。ASI(人工超知能)とロボティクスを融合させることで、人類の未来を切り開く画期的な進化を実現する」と意気込みを見せました。

【ファナック】エヌビディアとの協業でロボットを進化

ファナック(6954)は、工場の自動化(FA)に特化した日本の大手電気機器メーカーです。
同社は2025年、米エヌビディアと協業し、産業用ロボットへのフィジカルAI実装を推進することを公表しました。エヌビディアが手掛けるロボット向けの組み込みコンピューターを採用し、センサーなどを通じて集めた周囲のデータをもとに動作を判断できるロボットを開発します。人型ロボットや自動運転車、工場での作業ロボットなど、さまざまな分野での応用が期待されます。4月24日には、2027年3月期の営業利益が前期比15.5%増の2,122億円になる見通しを公表し、先週には上場来高値を更新するなど市場の期待を集めています。

【安川電機】AIロボットの実用化に向けソフトバンクと協業

同じくFA分野で注目なのが安川電機(6506)です。産業用ロボット、サーボモーター、インバータという3つの主力製品を中心に、工場自動化を支える「メカトロニクス」製品を製造・販売しています。

同社は2023年に、エヌビディアのAI技術を活用した次世代ロボットアームを発表・発売しました。また、2025年にはソフトバンク(9434)とAIロボットの実用化で協業すると発表しています。将来の労働力不足が懸念される中、多様な環境においてロボットが人と同じ空間で安全かつ柔軟に作業できることを目指しています。 4月10日に公表された2027年2月期の業績予想では、連結純利益が前期比33.4%増の470億円とV字回復する見通しです。AI・半導体関連分野を中心に、足元での受注が好調に推移しています。

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