はじめに
コスモラボの『シニア層の「困りごと」実態調査レポート』によると、シニアが日常生活で困っていることの中で、最も多いのが「デジタル機器やインターネットの利用の難しさ」です。
実際、スマホやパソコンの設定、インターネットやWi-Fiの接続は、慣れている人でも手間がかかります。私自身もデジタル機器は好きでいくつか使っていますが、設定や接続には苦労することがあります。説明書を見たり、サポートに問い合わせたりして、ようやく使える状態になることも少なくありません。
こうした状況を考えると、デジタル機器に慣れていない高齢者にとって、そのハードルはさらに高いものになるでしょう。
スマホが使えないと生活の質が低下する?
一方で、シニア世代にとってスマホの必要性は年々高まっています。かつて主流だったガラケー(3G回線)の「FOMA」や「iモード」は、2026年3月末にサービスが終了しました。
健康保険証はマイナ保険証へと移行が進み、医療機関では認証が必要となっています。免許証もマイナ免許証へと移行が進むなど、社会全体でデジタル化が進んでいます。
行政手続きもオンライン化が進み、スマホがあれば自宅で完結できることが増えました。しかし、スマホが使えないと手続き自体が難しくなるケースも出てきています。日常生活でも変化は顕著です。飲食店ではキャッシュレス決済のみの店舗が増え、連絡手段はLINEなどのSNSが中心になっています。
同窓会の案内も、往復はがきからメールやLINEへと移行しています。こうした変化により、スマホを使えない人とのつながりを保つことが難しくなる場面も出てきました。また、国際郵便の手続きでは、スマホやパソコンを使わなければ書類を作成できないケースもあります。
さらに、高齢になると外出が負担になり、買い物が不便になることもありますが、ネットショッピングを利用すれば自宅で生活を支えることができます。災害時の情報収集や安否確認、日々のニュースの確認なども、スマホがあれば迅速に行えます。
こうした点を考えると、スマホやデジタル機器は、シニアの生活の質を維持・向上させるために欠かせない存在になってきているといえるでしょう。
「デジタルデバイド」とは
しかし現実には、デジタル機器を使える人と使えない人の間で大きな差が生まれています。これがいわゆる「デジタルデバイド」です。
総務省の「令和6年通信利用動向調査」によると、個人でのスマートフォンの保有割合は80.5%です。年代別では、60代が87%、70代が67.5%、80歳以上は30.7%となっており、年齢が上がるにつれて保有率は低下しています。
また、内閣府「情報通信機器の利活用に関する世論調査(2020年)」によると、70歳以上でデジタル機器を利用していない理由としては、「自分の生活には必要ないと思っているから」(52.3%)、「どのように使えばよいかわからないから」(42.4%)、「必要があれば家族に任せればよいと思っているから」(39.7%)が多く挙げられています。