はじめに

利確してよい場面、慎重に考えるべき場面

もちろん、利確が常に悪いわけではありません。

たとえば、数年以内に住宅購入、教育費、独立資金、大きな医療費など、具体的な支出予定がある場合は、利益が出ているうちに一部を現金化する判断は合理的です。

また、株式比率が高くなりすぎている場合も、資産配分を整える目的で一部売却する意味があります。最初は株式70%、現金30%で考えていたのに、株価上昇によって株式85%、現金15%になっているなら、リスクの取りすぎになっている可能性があります。

あるいは、NISA枠を使って保有している商品を見直し、より長期で持ちたい商品に入れ替える場合も、売却を検討する余地はあります。

一方で、慎重に考えたいのは、「上がりすぎて怖い」「SNSで利確した人を見た」「枠が戻るなら損ではないはず」といった理由で売るケースです。

この場合、売却の理由が資金計画ではなく、相場への反応です。そこで売ると、次は相場への反応で買い戻すことになります。その結果、上がれば焦り、下がれば怖くなり、判断がさらに難しくなります。

日経平均6万円と、自分のNISAは分けて考える

もう一つ確認したいのは、日経平均が6万円になったことと、自分のNISA資産を売るべきかどうかは、必ずしも同じ話ではないという点です。

NISAで日経平均連動の商品や日本株を多く持っている人であれば、日経平均の上昇は自分の資産に直接関係します。一方で、オルカンやS&P500を中心に積み立てている人の場合、日経平均の6万円到達だけを理由に売却判断をするのはやや乱暴です。

確認すべきなのは、ニュースの数字ではありません。自分が何に投資しているのか、その資産がどのくらい増えているのか、今後いつ使う予定なのかという点です。

日経平均の節目は、投資方針を見直すきっかけにはなります。しかし、それだけで売却の理由にするには不十分です。

売却前に確認したい3つのこと

新NISAで利確を考える前に、最低限確認したいことは3つです。

まず、売却したお金の使い道と時期が決まっているか。「何となく不安だから現金化する」のか、「3年後の教育費に使うために一部を確保する」のかでは、判断の質がまったく違います。

次に、売却後の買い戻しルールを理解しているか。復活するのは翌年以降であり、金額は取得価額ベースです。年間投資枠が増えるわけでもありません。ここを誤解したまま売ると、再投資の段階で想定とずれる可能性があります。

最後に、今の利確判断が計画に基づくものか、相場への感情的な反応かを確認することです。利益が出ているときほど、判断は簡単に見えます。しかし、本当に難しいのは「売った後にどうするか」です。

新NISAの枠復活ルールは、頻繁に売買するための仕組みではなく、必要なときに資産を使いながら長期投資を続けるための仕組みです。日経平均6万円という数字に動かされる前に、まず確認すべきなのは「今売る理由が、相場ではなく自分の計画の中にあるか」なのです。

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