はじめに
「いつ使うか」を先に決めると、答えが見えてくる―退職前後に整理しておきたい3つの視点
多くの人にとって、企業型DCの拠出が終わるのは60歳を迎えるタイミングです。この時期には、資産を受け取るか、そのまま運用を続けるかを判断することになります。
もっとも、この判断が難しいのは、前提となる条件が一つではないためです。他の退職金の受け取り方や金額、今後の働き方、公的年金(国から支給される老齢年金)の受給開始時期など、複数の要素が同時に関わってきます。結果として、「どこから考えればよいのか」と迷いやすい状況が生まれます。
こうしたときは、制度や商品ごとの違いを追いかけるよりも、「その資産をどう使うのか」という視点で整理することが有効です。具体的には、次の3つの観点が手がかりになります。
一つ目は、「いつ使うお金か」です。60歳以降すぐに取り崩す可能性があるのか、それとも当面は使わずに持ち続けるのかによって、受け取りと運用継続の考え方は変わります。公的年金の受給開始時期との関係も、この判断に影響します。
二つ目は、「どのように受け取るか」です。企業型DCの資産は、一時金としてまとめて受け取る方法と、年金形式で分けて受け取る方法があります。どちらを選ぶかによって税金(所得に応じてかかる負担)のかかり方が変わるため、他の収入や退職金との組み合わせも含めて考える視点が必要になります。
三つ目は、「収入との関係」です。退職後も働く場合には、給与収入と年金収入が重なる可能性があります。どのタイミングで受け取るかによって、全体の収入バランスや課税の状況も変わってきます。
今後は、iDeCoの加入可能年齢の延長など制度の見直しも予定されており、資産を運用しながら持ち続ける選択肢は広がりつつあります。
選択肢が増えるほど、一つの正解を見つけることは難しくなります。ただ、制度を完全に理解してから動こうとすると、判断は先送りになりがちです。まずは「いつ使うか」という身近な問いから考え始めてみてはいかがでしょうか。