はじめに

営業利益の割には、純利益が削られてしまう

会社のもうけには段階があります。本業で稼ぐのが営業利益、そこから利息などを引いて最後に残るのが純利益。株価の割高・割安をはかるPERは、この一番最後の純利益で計算されます。

26年2月期の純利益726億円は前期比+167.5%の大幅増益でしたが、じつはこの利益の中身の多く(約690億円)が、ツルハを子会社にした上乗せ分で、いわば臨時ボーナスのようなものです。しかし、その臨時ボーナスが消える27年2月期の予想純利益は730億円とほぼ横ばい。つまり前期にあった約690億円の下駄が外れて、なお同水準を保てる見通しなのです。ということは、会社の実力そのものはむしろ着実に強くなっていると言えます。

とはいえ、イオンの売上高に対する純利益率はわずか0.6%。同じ総合小売のセブン&アイが約3%ですから、かなり薄利多売と言えます。これは、借金が大きく利息がかさむうえ、ツルハやイオンモールのように一部だけ持つ子会社が多く、グループのもうけの取り分が薄まりやすいといった特殊な事情があります。

それゆえ、純利益をもとに計算されるPERが大きくなりがちなのは考慮が必要です。そういった事情を踏まえれば、半年前に約200倍だったPERが、50倍まで下がっているのを見ると割安になったようにも見えます。しかし、利益率でみるとイオンより優秀なセブン&アイのPERが約15倍であることを鑑みると、やはりまだまだ高いと言わざるをえません。

優待目当てなら、思い切って株価とは切り離して考えるのも一案

ここまで読むとまだまだ株価は下がるかもと不安になるかもしれませんが、優待目的の方には少し違う視点があります。イオンの「オーナーズカード」は、保有株数に応じて買い物額の一部がキャッシュバックされる仕組み。これは株価が上がろうが下がろうが、日常的にイオンで買い物をするかぎり実利として戻ってきます。つまり“使ってナンボ”の優待で、含み損とは別のお財布で価値が続いているわけです。多少の含み損があったとしても、毎月の食費の一部を取り戻してるからいいと割り切れる人なら、株価の上下に一喜一憂せず保有を続ける合理性は十分にあります。

損を取り戻そうと買い増す前に、確認したいこと

では、半値になったこのタイミングで、買い増しをして平均取得単価を下げる作戦はどうでしょう? これには少し慎重になったほうがいいかもしれません。PERはまだ50倍と高く、信用倍率は2倍以上あり受給は重たい状態。欲を出して下値を取りにいくより、下げ止まりを確認し、反転したところから買い増しても遅くありません。損を取り返そうという気持ちはいったん横に置いといて、しばらくは優待でお買い物できるお得感のほうだけに気持ちを向けてみてはいかがでしょうか。

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