はじめに
食品や日用品、電気代など、値上げのニュースが続き、不安が高まっている人も多いと思います。「何か対策したほうがいいかな」と思いながらも、何をすればいいかわからない…という人も多いのではないでしょうか。
実は、物価高時代は「特別なことをしなければいけない」というより、「放置していること」を減らすだけでも、家計改善につながる場合があります。今回は、物価高時代に避けたい放置行動を5つ紹介します。
1. 全資産を「普通預金」に入れっぱなし
多くの方に取材をしていると、資産をすべて「普通預金に入れっぱなし」という方にしばしば出会います。金利が少しずつ上がってきたとはいえ、普通預金の金利は、まだまだ低め。大手銀行では0.3%ほど(執筆時点、以下同)なので、100万円を1年間預けても、利息は3000円(税引前)にとどまります。
一方で、物価が仮に2%上がれば、100万円で買えたものが、1年後は102万円になります。100万円のものを買おうと現金を準備していても、普通預金に預けたままでは、来年買えなくなってしまうのです。つまり、預貯金だけでは、実質的にお金の価値が目減りしてしまう可能性があるわけです。
普通預金だけという人は、少しでも金利の高い「定期預金」に一部預け替えることを検討しましょう。1年ものの定期預金は、大手銀行で0.4%ほど。ネット銀行や地方銀行のネット支店なら0.6~1.2%ほどと、比較的高めの水準も見られます。
注意点としては、一つの金融機関の預貯金で1000万円を超えないようにすることです。取材をしていると、時々1500万円や2000万円などを、普通預金に入れたままという方にも出会いますが、金融機関が万一倒産した際に保護されるのは、一つの金融機関につき、預金1000万円とその利息までです。1000万円を超える前に、2つ以上の銀行に分けておきましょう。
預金以外には、「個人向け国債」の選択肢もあります。個人が1万円から買える国債で、固定金利タイプ(3年、5年)と変動金利タイプ(10年)があります。金利上昇時は、変動金利を選ぶのが一般的なセオリーで、筆者もおすすめしていましたが、最近は固定金利も魅力が出てきました。2026年6月募集の金利は、変動金利10年が1.74%、固定金利5年が1.86%、固定金利3年が1.51%です(いずれも税引前)。
今後金利がもっと上がりそうだと考える場合は、半年ごとに金利が見直される「変動10年」を選ぶのが選択肢ですが、固定金利の3年や5年も魅力があります。いずれも、期間にかかわらず1年たてば中途換金が可能です。その際は直近2回分の利息が差し引かれるペナルティはありますが、元本割れしない点は安心材料といえるでしょう。
2. 「将来に向けた資産形成」を後回しにしている
普通預金だけの状態から、定期預金を活用できれば、一歩前進です。ただ、それでも「投資」をまったくしていない場合は、物価上昇時代は少々不安です。今後の物価上昇率の確実な予測はできませんが、預金金利の上昇に比べると、物価上昇スピードが高くなることは十分考えられます。
その場合は、リスクを理解した上で「投資」を一部取り入れることが賢明でしょう。その際に検討したいのが、株と債券などへの分散投資です。一般的に、長期では株式はインフレに比較的強い資産とされます。一方、債券は値動きをおさえる役割として活用されることがあります。
ただし、個別銘柄を選ぶのは難しいため、幅広い銘柄に分散投資できる「投資信託」を活用するのが選択肢です。NISAの「つみたて投資枠」で選べる投資信託は、金融庁がセレクトした長期投資に向いた商品が多く、コストも低めです。
月数千円など、無理のない金額で積み立てを始めてみましょう。値動きがあるため、一時的に資産が減ることがありますが、長い目で考えて、5年、10年と長く続けていきたいですね。
ただし、投資資金をいきなり株式にたくさんまわすのは避けたいところです。過去にも大きなショックで一時的に株式が約半分になったケースもあるため、「半分程度減っても、じっくり時間をかけて回復を待てる資金」をまわすようにしましょう。また、株式だけに偏らず、値動きを抑える目的として、先ほどお伝えした個人向け国債のほか、リスクを理解したうえで、先進国債券の投資信託や米国債などを組み合わせる考え方もあります。