読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は深野康彦氏がお答えします。


音楽で生計を立てている35歳です。ここ数年でようやく収益が安定して年収が700万円ほどになり、投資を考え始める段階になりました。まだ資産のない自分にとって、インカムゲインよりもまずはキャピタルゲインで資産形成を図るのがよいと思っています。しかし、今年に入って会社員からフリーランスに転向したため、リスクには慎重にならなければという認識も持っています。投資への入り口でつまづきたくないので、よいアドバイスをお願いいたします。
(30代後半 独身 男性)

**深野:**ご質問を読ませていただくと自分の夢に向かってコツコツと進んでいるように感じられ、こちらまでうれしくなりますね。早速、質問に回答していきましょう。

国民健康保険と年金は最低限の条件

投資を始めたいとのことですが、質問から推測する限りでは少し早いのではないかと思われます。

今年、会社員からフリーランスに転向したと書かれていますが、フリーランスは仕事でリスクを取っているのですから、資産運用ではその分、勤労者よりもリスクを抑えるべきだと思うのです。

投資を行ってはいけないというわけではなく、相応の資産を保有し、かつ健康保険や公的年金にしっかり加入している必要があります。国民健康保険と国民年金の加入は行っていますか。

これらは日常の最低限の保障を得るものです。国民健康保険に加入すれば、病気やケガをした場合の窓口負担は3割になります。加入していないと全額自己負担になるのですから、7割減は大きいですよね。

国民年金は老後のための準備というイメージが強く、今、若い世代が老後を迎えたときには年金をもらえないと否定する方がいますが、国民年金には働いている現役世代における保障があることも忘れてはなりません。

ご質問者は独身なので保障は関係ないと思われるかもしれませんが、国民年金によって病気や事故等で障害者になった場合、障害年金を受け取ることができるのです。

この2つに加入することは、フリーランス(自営業者を含む)の最低限の条件です。

まずは9ヶ月分の貯金を

加えて、ご質問者は金融資産をどのくらい保有されているのでしょうか。30代後半、フリーランスということを考慮すれば、最低でも9ヶ月程度、できれば1年程度の預貯金を保有しておきましょう。

万一、病気やケガ等で働けなかった時に備えておくためです。

会社員は病気やケガで働けなくなった場合、傷病手当を労災保険から受け取ることができますが、フリーランスには傷病手当のような制度がないため、自分で準備する必要があります。

すでに、これらの準備ができていれば、投資を始めてもよいと思います。

節税効果を得ながら投資

原資は、定期的な収入の中から、積立投資を行うようにされるのがよいでしょう。預貯金が確保されているからといって、毎月の積立を全額投資に回しては将来的にリスクを取り過ぎる可能性があります。毎月の積立の半分を投資に、残りは積立貯金にされるとよいでしょう。

投資は将来のため、言い換えれば老後の準備と考えられているならば、個人型確定拠出年金で投資を行われるとよいでしょう。

個人型確定拠出年金であれば、掛け金(積立金)は全額所得控除扱いになるうえ、運用期間中の運用益も非課税になることから、節税効果が高いのです。フリーランスであれば、節税を兼ねられる制度をうまく活用することが鍵になります。

投資を始められる商品は、積立投資が簡易にできる投資信託、なかでも日本あるいは海外の株価指数に連動するインデックスファンドがよいでしょう。