はじめに

AI・半導体業界が熱狂する中、メガネ業界が静かに沸いています。最大手のジンズホールディングス(3046)、「Zoff」を運営するインターメスティック(262A)、高級眼鏡「金子眼鏡」「999.9(フォーナインズ)」を展開する「Japan Eyewear Holdings(以下、JEH/5889)」。

この3社がそろって好決算を出し、株価も上昇基調にあります。生活必需品のイメージが強いメガネで、なぜいま投資家の視線が集まっているのか。直近の決算から読み解いていきます。


なぜ「メガネ株」がそろって好調なのか

3社に共通する追い風は、大きく4つあります。

1つめは、値上げが通ること。メガネは単なる視力矯正の道具から、ブルーライトカットや調光、近視・老眼対応といった機能性、そしてファッション性を備えた商品へと進化しました。付加価値が伝わるほど、お客さんは高くても納得して買う。各社とも高単価商品の販売が伸び、客単価が上がっています。

2つめはインバウンド。訪日客にとって日本のメガネは品質が高く割安で、サングラスや高級フレームがよく売れています。猛暑やUV意識の高まりも、サングラス需要を押し上げました。
3つめが製造小売(SPA)というビジネスモデル。3社はいずれも自社で企画・製造・販売まで手がけています。そのため、値上げがそのまま利益率の改善につながりやすく、増収がしっかり増益に結びつくのです。

4つめは、意外と見落とされがちな構造的な需要。スマホで目を酷使する世代の近視増加、高齢化による老眼人口の拡大に加え、「仕事用」「PC用」「サングラス」と用途別に複数本を持つ文化も広がっています。メガネはいまや“一人一本”ではないのです。

これらが重なり、3社の足元の業績は力強く伸びています。JINSは2025年8月期に売上高972億円(前期比17.1%増)、営業利益121億円(同54.3%増)と過去最高益を更新。Zoffも2025年12月期は売上約501億円(前期比11.8%増)、営業利益約59億円(同19.5%増)、JEHも2026年1月期に売上186億円(前期比11.8%増)、営業利益約60億円(同11.8%増)と、そろって二桁の利益成長を遂げました。もっとも、すべてが順風満帆というわけではありません。JINSは2026年8月期の中間決算で、国内の一部商品の販売不振から通期予想を小幅に下方修正しています。

3社の強みとそれぞれの違いは?

同じ追い風でも、3社の立ち位置はくっきり違います。JINSは業界最大手。売上規模で群を抜き、均一価格のわかりやすさを武器に、高機能レンズなどで客単価を引き上げています。子ども向けの近視対策レンズにも参入するなど、機能性の打ち出しも旺盛。さらに中国・台湾・米国など海外事業の構造改革が実を結び、海外アイウエア事業の営業利益は2024年8月期はわずか0.4億円でしたが、2025年8月期は7.5億円へと急拡大しています。

Zoffは業界2位。サングラスやUV対策商品に強く、目黒蓮さんを起用した広告などマーケティングの巧さが光ります。そして2025年10月、メガネスーパーを運営するビジョナリーホールディングスを子会社化。店舗数はZoffと合わせてグループ計631店舗となり、2026年12月期は売上高858億円(前期比71.1%増)規模へと拡大する見通しです。M&Aによる規模拡大が、次の成長エンジンです。

JEHは異色の高級路線。福井・鯖江の職人がつくる「金子眼鏡」「999.9」を展開し、一式の単価は金子眼鏡で約8.2万円、フォーナインズで約8.7万円とセット価格で6,000円程度のJINS・Zoffとは桁が違います。富裕層とインバウンドに支持され、利益率は32%と3社で最も高い水準を誇ります。国内に競合の少ないラグジュアリー領域を押さえているのも強みです。ブランド力を背景に、商品を年3~5%ずつ値上げしながら出店を増やす――“高くても売れる”底力が武器です。

投資管理もマネーフォワード MEで完結!配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward HOME]