はじめに

テーマ投資で注目したい需要の連鎖

図

ここで個人投資家が意識したいのは、「テーマ名」だけを追いかけるのではなく、そのテーマの中で実際にお金が落ちる場所を考えることです。AIと聞くと、まず半導体株に目が向きます。しかし、半導体を作るには製造装置が必要であり、製造装置には部材や精密部品が必要です。データセンターを作るには土地、建設、電力、空調、冷却、通信インフラが必要です。生成AIの普及が進めば進むほど、電力消費も増え、送配電設備や重電関連にも関心が向かいやすくなります。

つまり、資金の流れを見るということは、「いま人気の銘柄をそのまま買う」という意味ではありません。むしろ、人気テーマの奥にある需要の連鎖をたどる作業です。半導体が買われているなら、その周辺にある素材、検査装置、電源、冷却、光通信、データセンター建設にも資金が回る可能性はないか。防衛費が増えているなら、主契約企業だけでなく、部品、電子機器、通信、宇宙、サイバーセキュリティにも波及しないか。そうした視点を持つことで、投資の見方はかなり立体的になります。

防衛関連も同じです。日本では防衛力強化の流れが続いており、財務省資料によれば、令和8年度の防衛関係予算全体は9兆353億円、整備計画対象経費は8兆8,093億円とされています。防衛関連は一時的なニュースで物色されることもありますが、予算の裏付けがあるテーマは、中長期の資金流入を考えるうえで重要な材料になります。

強いテーマでも高値づかみに注意

一方で、注意すべきなのは「有名テーマだから安心」と考えてしまうことです。AI、半導体、防衛、データセンターといったテーマは確かに強い流れがありますが、すでに大きく上昇した銘柄に何も考えず飛び乗るのは危険です。人気化した銘柄は、短期的には良い材料が出ても利益確定売りに押されることがあります。

今年の春以降、AI・半導体関連株への資金流入が上昇をけん引し日経平均が最高値を複数回更新しています。今週6月18日には日経平均株価が終値で71,000円に到達し、上昇トレンドの強さが改めて確認されています。ただし、株価水準の切り上がりに伴い高値警戒感も強まっており、足元では短期的な利益確定売りに押される場面も見られます。

個人投資家にとって大切なのは、「強いテーマ」と「買ってよいタイミング」を分けて考えることです。テーマが強いことと、今すぐ買ってよいことは同じではありません。良い会社でも、高値圏で期待が過度に乗っている場合、短期的には調整に巻き込まれる可能性があります。特に、SNSで急に話題になった小型株、出来高が急増した銘柄、決算前の期待だけで買われている銘柄、材料が出尽くした後の銘柄には注意が必要です。

株価は将来を織り込んで動きます。つまり、決算が良かったから上がるのではなく、「市場が想定していた以上に良かったか」「次の成長期待が膨らむか」が重要です。決算前に期待だけで大きく上がっていた銘柄は、実際の決算が悪くなくても、材料出尽くしで売られることがあります。これは初心者がつまずきやすいポイントです。

投資管理もマネーフォワード MEで完結!配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward HOME]