はじめに

ウォーシュ新議長のもとで開かれた6月FOMCは、政策金利の据え置き以上に、FRBの「伝え方」の変化を印象づけました。フォワードガイダンスの後退やドットチャートの受け止め方、中間選挙前の利下げ条件を通じ、米金利・ドル円・半導体株への影響を整理します。


ウォーシュFRB初会合で変わった政策の伝え方

ケビン・ウォーシュ新議長のもとで開かれた初めてのFOMCは、単なる政策金利の据え置きではなく、FRBの運営思想が変わり始めたことを示す会合だったと考えられます。

投資家にとって一番大事なのは、「ウォーシュFRBは利下げを急ぐFRB」ではなく、「市場に政策の答えを先に渡さないFRB」になる可能性があるという点です。ここを押さえると、今後の米金利・ドル円・半導体株の動きがかなり読みやすくなります。

今回6月のFOMCで、政策金利は据え置かれました。しかし投資家が本当に注目すべきなのは、金利水準そのものよりも、ウォーシュ議長がFRBの「伝え方」と「考え方」を変えようとしている点です。これまでのFRBは、声明文、ドットチャート、記者会見、フォワードガイダンスを通じて、市場にできるだけ丁寧に道筋を示してきました。市場もそれを前提に、次の利上げ・利下げのタイミングを織り込んできました。

ところがウォーシュ氏は、今回のFOMCでその前提を揺さぶりました。声明文は簡潔になり、将来の政策方向を示すフォワードガイダンスは外されました。ウォーシュ氏は記者会見で、現在の政策環境ではフォワードガイダンスは適していないとの考えを示し、「次に何をするかについてガイダンスは出せない」と述べました。つまり、投資家は今後、FRBが先回りして市場を誘導してくれるとは考えにくくなります。

経済指標ごとに読み直すFRBの反応関数

これは金融市場にとって大きな変化です。なぜなら、ここ20年ほどの市場は「FRBがある程度、次の行動を事前に教えてくれる」ことに慣れていたからです。これが変わると、雇用統計、PCEデフレーター、CPI、ISM、賃金、長期金利などの経済指標が出るたびに、市場が自力でFRBの反応関数を読み直す必要が出てきます。結果として、金利、為替、株式市場のボラティリティは高まりやすくなると考えられます。

今回のFOMC後に主要株価指数の下落、米国債利回りの上昇、ドル高が同時に起きたのも、その象徴です。政策金利は据え置きだったにもかかわらず、FOMC参加者の新たな見通しでは、年内利上げを見込むメンバーが増えました。

市場はこれを「思ったよりタカ派的」と受け止め、米2年債利回りは上昇し、S&P500やナスダックも下落しました。つまり、ウォーシュFRBの初陣は、「利下げ期待」ではなく「金融政策の読みづらさ」と「インフレ警戒」を市場に意識させる結果となりました。

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