はじめに
6月25日に日経平均株価は過去最高値を更新しました。上昇のきっかけとなったのが、米国の半導体大手、マイクロンテクノロジーの決算発表です。同社の好決算から読み取れるAI・半導体市場の現在地と、それに連動して日本市場で盛り上がりを見せている「キオクシア」の動向について解説します。
マイクロン好決算が引き金に。AIを支える超高性能メモリの需要
マイクロンテクノロジーが発表した2026年3~5月期の決算は、純利益が前年同期比15倍の282億4,300万ドル(約4兆6,000億円)に達しました。さらに、2026年6~8月期の売上高見通しを500億ドル前後と公表し、予想の435億ドルを大きく上回る結果となりました。
成長の背景にあるのが、AIブームに伴うメモリー需要の急増と価格の高騰です。生成AIの稼働には、膨大なデータを処理するGPUだけでなく、それを支える超高速・大容量のメモリー(HBMなど)が不可欠であり、同社はこの需要を取り込んでいます。
1978年、アイダホ州ボイシの歯科医院の地下室にて、社員わずか4人の半導体設計会社としてスタートした同社。モステック社のために64Kメモリチップの設計を手掛けたのが始まりでした。現在の好決算を支える主力商品「HBM3E」のサンプルを、同社は2023年にいち早く出荷しています。これは生成AIの進化を支える超高性能メモリであり、従来のDRAMを縦に何層も積み上げることで配線を極限まで短縮し、圧倒的なデータ転送速度と大容量、そして高い省電力性能を同時に実現している点が最大の強みです。日本国内にも複数の拠点を構えており、国内法人のマイクロンメモリジャパン株式会社が、製造から研究開発、営業まで重要な役割を担っています。
約90兆円の巨額投資! 「ハイパースケーラー」との長期契約がもたらす安定成長
好決算を裏で支えているのが、「ハイパースケーラー」と呼ばれる巨大IT企業によるインフラ投資です。ハイパースケーラーとは、大規模なデータ処理やストレージのための広大なインフラを構築し、クラウド・コンピューティングなどのサービスを提供する企業群のことで、アマゾン、アルファベット(Google)、マイクロソフトなどが代表格です。
米テック大手5社による2026年の設備投資総額は、実に6,000億ドル(約90兆円)超に上る見通しです。マイクロンテクノロジーは、これらハイパースケーラーとの間で数年にわたるHBM供給の長期契約を結んでいます。これにより、一部で囁かれる需要のピークアウト懸念をよそに、安定した構造的成長の基盤を確固たるものにしています。
売買代金4兆円超え! 日本市場を牽引する「キオクシア」の熱気
日本市場において、マイクロンテクノロジーと同様にメモリ半導体を扱い、熱視線を集めているのがキオクシアです。
同社の売買代金の勢いが止まりません。6月24日には、個別銘柄として過去最高となる4兆6,833億円という売買代金を叩き出しました。この日の同社の株価は、寄り付きが9万5,290円、高値9万8,190円、安値8万6,550円、そして終値が9万2,500円と、非常にボラティリティ(価格変動)が高い展開となりました。前日も売買代金が4兆円を超え、株価は前日比1万6,410円安と大きく揺れ動いています。
しかし、市場の過熱感から見れば、この反落は当然の一服と言えます。その理由は「25日移動平均乖離率」にあります。