はじめに

1日に数千円単位で上下するなど、かつてないほどの乱高下を繰り返している日経平均株価。米国の政治動向や金利政策に振り回される中、投資家はどのように相場と向き合えばよいのでしょうか。

マネーフォワード ME イベント&セミナーのYouTubeチャンネル「大川 & Nobbyの聴くだけ投資」では、クオンツ分析の専門家である大川智宏氏とDJ Nobby氏が最新の相場動向を解説しています。今回の動画では、日経平均が乱高下する本当の理由から、マイクロンの好決算の裏に潜むリスク、そして「AI・半導体バブル崩壊の鍵を握る」と警戒する米国企業「オラクル」の動向まで、投資家必見のトピックを紐解いていきます。

【この記事の主なトピック】
日経平均が乱高下する本当の理由:一部のAI・半導体企業にばかりお金が集中しすぎているため、市場全体が不安定になっている
富裕層が牽引する国内の「K字型経済」:インバウンド減少でも百貨店の宝飾品・絵画が売れ続ける理由とは
マイクロン好決算と半導体株の「持たざるリスク」:絶好調な業績の裏に潜む「仮需(過剰発注)」の懸念とプロのスタンス
AIバブル崩壊の引き金は「オラクル」?:巨額投資と高い有利子負債比率が招く、「オラクル発の半導体ショック」への警戒
大川道場「トヨタ自動車」は買いか:急反発したトヨタ自動車に対する、プロのシビアな中長期目線と「フィジカルAI」への期待

日経平均が乱高下する本当の理由

現在の日経平均株価は、1日の値幅が非常に大きく、ボラティリティ(価格変動率)が高い状態が続いています。大川氏によれば、この乱高下の背景にはトランプ前大統領の発言による地政学リスクの高まりだけでなく、「AI・半導体銘柄への過度な資金集中」という構造的な問題があるといいます。

「NVIDIA(エヌビディア)をはじめとする一部のハイテク企業が急激に成長し、時価総額が天文学的な数字になりました。その結果、市場全体に対する1銘柄の持つウェイトと威力が大きくなりすぎているのです。これら巨大銘柄が少し利益確定で売られるだけで、市場全体が大きく動いてしまう環境になっています」と大川氏は指摘します。このようなノイズが多い相場環境では、中長期の投資家はあえて手を出さず、様子を見るのも一つの有効な戦略だとしています。

富裕層が牽引する「K字型経済」と百貨店の好調

相場の乱高下が続く中、国内経済のトレンドを読み解く指標として大川氏が注目しているのが「百貨店売上高」です。直近のデータでは、中国人観光客などのインバウンド客数が減少しているにもかかわらず、百貨店の売上高は非常に強い数字を叩き出しています。その要因は、国内の富裕層による宝飾品や絵画などの高級品の「爆買い」です。「インフレが進行して株高になれば、富裕層はその恩恵を受けて消費を拡大させます。お金があるところにはあり、ないところにはないという『K字型経済(二極化)』が日本でも顕著になってきています」と大川氏は分析します。

マイクロン好決算の裏に潜む「仮需」のリスク

米大手半導体メーカーのマイクロン・テクノロジーが発表した決算は、市場予想を大きく上回る非常に強い内容でした。データセンター向けの需要が高まり、半導体メモリの価格が上昇していることが要因です。

しかし大川氏は、この好決算を手放しで喜ぶことには警鐘を鳴らします。「市場のアナリストが予測する『実需(実際の需要)』を遥かに超えているということは、企業が将来の品不足を恐れて必要以上に買い溜めをしている『仮需(過剰発注)』が発生している可能性があります。異常な価格高騰がいずれ是正される局面が来ることは想定しておくべきでしょう」。

一方で、半導体株は「いつバブルが弾けるかわからないが、今持っていないことのリスク(持たざるリスク)の方が大きい」という悩ましい状態にあるのも事実です。

AIバブル崩壊の引き金は「オラクル」? プロが警戒する巨額負債

半導体需要を牽引しているのは、巨大IT企業(ハイパースケーラー)による莫大なデータセンター投資です。大川氏が今、最もその動向を警戒しているのが、データベース大手の「オラクル(Oracle)」です。オラクルは近年、クラウドやデータセンタービジネスへと急激に舵を切り、他社を圧倒するスピードで資金調達と巨額の設備投資を行っています。

しかし大川氏は、「オラクルの純有利子負債比率は突出して高く、手元資金に対してかなり無理をした投資を行っているように見えます。もしオラクルの事業が立ち行かなくなり設備投資がストップすれば、それが半導体需要の減少に直結し、『オラクル発の半導体ショック』を引き起こす引き金になるかもしれない」と独自のリスクシナリオを提示しています。今後のハイテク相場を占う上で、オラクルの財務状況と決算は最重要のチェックポイントと言えそうです。

大川道場:急反発した「トヨタ自動車」は買いか?

番組の後半では、元外資系金融マンのDJ Nobby氏が実際に購入した銘柄を大川氏がジャッジする実践的なコーナー「大川道場」も展開されます。今回は、足元で株価が急反発した「トヨタ自動車」を取り上げました。大川氏は、足元の円安や売られすぎの反発という短期的なプラス要因は認めつつも、中長期的な視点では「次世代のソフトウェア定義車両(SDV)の開発において、米国や中国の企業に遅れをとっている」とシビアな見方を示します。

一方で、日本の強みである工場などの自動化(ファナック等の技術)とAIを組み合わせた「フィジカルAI」がトヨタの製造現場で力を発揮すれば、再び大きな競争力を持つ可能性があると期待を込めています。

巨大なIT企業たちの動向が世界中の市場を揺るがす今、日々のニュースの裏側にある「本当のリスク」を見極める視点が投資家には求められています。より詳細な分析は、ぜひ動画本編でお楽しみください!

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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