はじめに
日本市場の売買代金が活況を呈しています。東京証券取引所が公表したデータによると、2026年上半期の東証プライム市場の1日平均売買代金は過去最高を更新しました。こうした市場の盛り上がりは、企業の株主還元拡大や株価上昇をもたらし、家計の金融資産残高を押し上げる要因にもなっています。
本記事では、日本市場の最新の売買状況と家計の金融資産動向を整理し、これからの相場を見極めるためのポイントを解説します。
東証プライムの売買代金が過去最高に
東京証券取引所が先日公表した「2026年6月及び年上半期(1-6月)の売買状況について」によると、2026年上半期の東証プライム市場(内国普通株)の1日平均売買代金は10兆1412億円に達し、過去最高を更新しました。2025年上半期の1日平均売買代金が5兆2678億円だったことを踏まえると、実に約2倍もの規模に膨れ上がっています。さらに2026年6月に限って見れば、1日平均売買代金は12兆9727億円を記録しています。
株式だけでなく、ETF(上場投資信託)市場も同様です。2026年6月のETF市場の1日平均売買代金は6619億円となり、前年同月(2421億円)の約3倍へと拡大しています。
日本市場の売買代金がここまで増加している主な背景には、東証が主導する「資本コストや株価を意識した経営」の要請と、海外投資家による日本株買いがあります。これは、上場企業に対して、株主が求める期待リターン(資本コスト)を上回る利益率(ROEなど)を稼ぎ、持続的な企業価値向上を目指すよう要請した取り組みのことです。
株主還元策で株価急騰。キオクシアの売買代金は驚異の規模へ
この要請に応える形で、多くの上場企業が積極的な株主還元策を打ち出しています。上場企業による株主への配当総額は、2026年3月期に初めて20兆円を超える見通しです。また、2026年1~5月に設定された自社株買いの取得枠は前年同期比34%増の16.2兆円に達し、この期間として過去最高を記録。2025年の年間設定額(17.7兆円)に早くも迫る勢いを見せています。
こうした動きを好感し、株価の急上昇が目立つ企業も相次ぎました。2026年に入ってから、太陽誘電が500%高、古河電工が300%高などを記録したほか、キオクシアに至っては700%高というパフォーマンスを見せています。キオクシアの5月の月間売買代金は34兆1293億円に上り、1日平均の売買代金だけでも1兆5513億円に達しました。6月分は未発表ですが、1日平均2兆円を超えている可能性が高いと見られています。
記録的な株高で「貯金から投資へ」のシフトが鮮明に
こうした株高を背景に、個人の資産運用への意識も大きく変化しつつあります。日銀が公表した2026年1〜3月期の資金循環統計(速報)によると、3月末時点の家計の金融資産残高は2386兆円となり、前年同期比で7.1%増加しました。
内訳を見ると、株式等の残高は28.6%増の398兆円、投資信託は25.7%増の165兆円と大きく伸びています。一方で、現金・預金の残高は0.6%増の1126兆円にとどまっており、長らく続いてきた「貯金中心」の家計から、株式や投資信託への資金シフトが鮮明になっています。
日本の家計における現預金比率は、長らく50%台前半で推移してきましたが、2025年6月末に50%を割ったのち、2026年3月末には47%まで低下しました。現預金への資金流入ペースが落ちる一方、投資信託への資金流入が強まり、株価上昇が株式・投資信託の評価額を押し上げた結果といえるでしょう。ただし、海外諸国と比較すると、金融資産全体に占める株式・投資信託の割合は依然として約24%と低水準です。