はじめに

大学生にも浸透し始めているNISA。大学で金融教育の授業をすると、「すでにNISAを始めている」という学生にも出会うようになりました。特に、経済学部などで金融を学んでいる学生は、投資に積極的な人も少なくありません。なかには、月10万円以上のバイト代をほぼ全額NISAで運用している人もいます。親世代が聞いたら、驚くかもしれませんね。

若いうちから資産形成に関心を持ち、行動に移すことは、とてもよいことです。だからといって、手元にあるお金のほとんどを投資に回してもよいのでしょうか。

大切なのは、投資に回すお金と回さないお金を、自分で判断できるようになることです。18歳になる前に、親子で「3つのお金」を考えてみましょう。


NISAは「割のよい貯金」ではない

NISAは、投資で得た利益が非課税になる制度です。対象は主に投資信託や上場株式。預貯金より増える可能性がある一方、元本や運用益は保証されません。

物価上昇が続き、「預貯金しても実質的な価値は目減りする」と考える人が増えてきました。ここ数年の株高もあり、預貯金より投資のほうが安全だと感じる人もいるでしょう。その結果、NISAを「割のよい貯金」のように利用している人もいます。

しかし、これまでの相場が好調でも、お金が必要になったときに利益が出ているとは限りません。預貯金は近いうちに使うお金を置いておくもの、投資は当面使わないお金を長期で育てるもの。どちらが優れているかではなく、役割が異なるのです。

一人暮らしの夢を、「相場任せ」にする学生

実際に、「社会人になったら一人暮らしをしたいので、NISAでお金を貯めています」と話す大学生がいました。売却するときに値上がりしていれば、引っ越し代や敷金・礼金、家具・家電の購入などに充てることができるでしょう。

しかし、一人暮らしを始めたい時期に相場が下がっていたらどうでしょうか。損失を抱えたまま売却するか、価格が回復するまで一人暮らしを延期する、あるいは親に不足分を援助してもらうことになりかねません。つまり、夢の実現は相場任せ。いわば「相場連動型の人生」になっています。これは、一人暮らしに限らず、留学、運転免許、就職活動のための費用であっても同じです。

投資は、10年以上使う予定のないお金で、長期・積立・分散を意識して行うのが基本。10年以上続ければ、必ず利益が出るわけではありませんが、運用期間を長く取り、購入時期や投資先を分ければ、価格変動の影響を抑えやすくなります。一方、数年以内に使う予定のお金まで投資に回すと、相場が下がっていても、必要な時期に売却せざるを得ないかもしれません。こうしたお金は、相場に左右されにくい方法で準備しておきましょう。

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