はじめに
ここ最近、100円ショップ大手のセリア(2782)の株価が大きく上昇。7月31日の決算発表を好感し、8月4日現在で年初来高値の4,435円まであと400円程度に接近しています。
正直、わたしは原材料高や円安が続くなかで、100円という単一価格を守る100均界隈はコスト面で苦しんでいるはずだと思い込んでいました。ところが蓋を開けてみると、セリアだけでなくキャンドゥ、ワッツも軒並み増収増益。今日はこの意外な堅調さの中身を、3社の決算から掘り下げてみたいと思います。
セリア:5期ぶりの上期最高益、通期予想もさらに上積み
セリアが7月31日に発表した2027年3月期第1四半期は、営業利益が前年同期比48.7%増の61.6億円と大幅増益でした。売上営業利益率も前年同期の6.9%から8.9%へ大きく改善しています。
これを受けて上期の営業利益予想を99億円から109億円へ、通期予想も211億円から221億円へ上方修正。上期は5期ぶりの過去最高益更新、通期は従来の6期ぶり最高益予想をさらに上乗せする格好になりました。
実は7月9日には、原油高による粗利率低下と円安進行への懸念から、国内証券が投資判断を「1」から「2」へ格下げ、目標株価も4,600円から4,000円に修正していました。その日は株価も2%ほど下落しています。しかし蓋を開ければ、シール類など低原価商品の販売が好調で売上原価率はむしろ低下。既存店売上高も6月まで16カ月連続で前年を上回るなど、客数増の勢いがコスト増を上回った格好です。市場が織り込んでいた悪材料が、実際には杞憂に終わったことが株価上昇につながっていると見ています。
株価は2月につけた高値4,435円から7月には3,880円台まで調整する場面もありましたが、今回の決算で13週・26週の移動平均線を上抜け、上昇トレンドを取り戻しつつあります。PERは現在16倍台、同社の3年平均PERが20倍程度なので、それを鑑みると決して割高感の強い水準ではないというのが率直な印象です。
キャンドゥ・ワッツも増収増益
キャンドゥ(2698)の2027年2月期第1四半期は、売上高227.9億円(+3.8%)、営業利益7.4億円(+12.0%)。原材料高騰の影響で売上総利益率こそ0.3ポイント低下しましたが、セルフレジ導入や人時コントロールの徹底で販管費率を0.5ポイント圧縮し、増益を確保しました。イオングループの一員としてプライベートブランド「トップバリュ」の食品取り扱いを始めるなど、節約志向を取り込む動きも進めています。株価は、セリア同様、あと1ジャンプで年初来高値に届きます。
ワッツ(2735)の2026年8月期第3四半期累計は、売上高480.1億円(+4.3%)、営業利益13.7億円(+33.8%)と3社の中でも高い増益率です。既存店売上高は前年比104.0%。高単価商品の構成比を高めるプロダクトミックスの最適化が奏功し、売上総利益率はむしろ0.2ポイント改善しました。ただし通期予想は「地政学リスクによる外部環境の不透明感」を理由に据え置いており、先行きへの慎重さもにじみます。
3社に共通するのは、原材料コスト上昇という逆風を、既存店売上の伸び・商品構成の見直し・人件費効率化など、涙ぐましい企業努力でカバーしきっている点です。