はじめに
仕事において責任も裁量も大きくなり、収入もキャリアの集大成を迎える50代。都内で独身生活を送る男性なら、時間もお金も自分の裁量で使える自由さを実感している方も多いのではないでしょうか。
一方で、80代前後にさしかかる親のこと、そして自分自身の老後や定年後の暮らしなど、これまでとは違う「将来への備え」を意識し始める時期でもあります。
今回は、都内で暮らす50代独身男性の最新の懐事情(年収、貯蓄額、生活費)を公表データから徹底解剖。2026年現在の制度改正も踏まえ、FP視点で老後を見据えたマネープランをお届けします。
都内で働く50代会社員男性の「平均年収」はいくら?
まずは気になる年収から見ていきましょう。50代は、他の年代と比較しても収入のピークを迎える時期です。
厚生労働省が公表した最新の「2024年賃金構造基本統計調査」によると、東京都で働く50代男性の平均賃金は、以下のとおりです。
50~54歳の平均月収は約56万円、年間ボーナスは約194万円、年収は約872万円です。55~59歳の平均月収は60万円、年間ボーナスは204万円、年収は919万円です。
<東京都男性の年齢階級別賃金(万円)>
厚生労働省「2024年賃金構造基本統計調査」都道府県別第1表(東京・産業計・企業規模計10人以上・男性)を基に筆者作成
50代は、55~59歳にかけて賃金がピークに達する、まさに収入の絶頂期です。手取りにすると、月45万~48万円ほどが目安でしょう。そして、50代は部長・役員クラスなど管理職に就く人も増え、責任の重さに比例して収入も伸びる時期です。
ただし60代以降は、再雇用や転職により収入が大きく下がるケースがほとんど。今の高い収入に安心せず、「収入のピーク」である今のうちに、将来を見据えた資産形成を進めておくことが重要です。
50代の「貯蓄額」のリアル:平均値と中央値
50代ともなると「自分の貯蓄は同世代と比べてどうなのか」、と気になるものの、なかなか他人には聞けないデリケートな話題です。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表している「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査)2025年」によると、50代・単身世帯の金融資産保有額(貯蓄・投資等の合計)は、平均値で999万円にのぼります。
<金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)>
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査2025年)」を基に筆者作成
ただし、この「平均999万円」という数字は、50代のほとんどが約1000万円の貯蓄があることを表しているわけではありません。それは、一部の資産家が平均値を大きく押し上げているためです。
実態に近いのは中央値で、同調査では120万円となっています。しかも、金融資産を保有していない、いわゆる貯蓄ゼロの世帯が35.2%にのぼることもわかっています。つまり、50代独身男性は、「かなり貯めている層」と「ほとんど貯められていない層」に大きく二極化しているのが実態です。
収入のピークを迎えているにもかかわらず思うように貯蓄が増えていないと感じるなら、支出の見直しと同時に、老後資金づくりを本格化させる最後のチャンスと捉えて動き出すことをおすすめします。
都内50代独身の生活費と家賃
続いて生活費です。総務省の「令和6年全国家計構造調査」によると、単身男性・50代の1カ月の消費支出は平均18万7362円です。
そのなかでも都内で暮らす場合は、住居費が大きなウエイトを占めます。公益財団法人不動産流通推進センターがまとめた「2026不動産統計表」によれば、東京の賃貸マンションの家賃相場は、ワンルームで平均8万8878円、1LDK~2DKで平均11万857円となっています。
不動産流通推進センター「2026不動産統計表」を基に筆者作成
50代でゆとりある1LDK~2DKに暮らすとすると、家賃を組み込んだ1カ月の生活費は25万~27万円程度になると見ておくとよいでしょう。
<50代単身男性の消費支出(1カ月・目安)>
総務省「令和6年全国家計構造調査」および不動産流通推進センター「2026不動産統計表」を基に筆者作成
なお、50代は日本全体で見ると、子どもの教育費が最もかかる時期と重なる年代でもあります。厚生労働省の人口動態調査によると、2008年で第一子が生まれたときの父親の平均年齢は31.6歳。その子が18歳になるタイミングで逆算すると、ちょうど親が50歳代を迎える計算になります。私立大学であれば、4年間の教育費は自宅通学でも700万円を超えることが珍しくありません。
独身であれば、こうした教育費の負担がない分、そのお金をまるごと自分の資産形成や老後資金に振り向けられるのが大きな強みです。収入のピークを浪費で終えるのではなく「将来の自分」への投資にも回していきたいところです。