はじめに

2026年7月末、日米は異例の円買い協調介入に踏み切り、ドル円は164円近辺から155円台まで急落しました。ただ、介入だけで円安の構造要因が変わったわけではありません。介入までの経緯とFIMAレポの役割を振り返り、当面のドル円見通し、再介入の条件、円高局面で注目したい投資対象を整理します。


日米協調介入までの経緯

介入後は157円台まで戻しており、円安トレンドが完全に転換したというより、投機的な円売りに強いブレーキがかかった段階と捉えるのが妥当です。

2026年のドル円相場を8月6日時点で振り返ると、7月末の日米協調介入は、突然実施された措置ではありません。

年初から日本と米国の当局が、急速で一方向的な円安に対する警戒を段階的に強め、口先介入、レートチェック、実際の為替介入を経て、最終的に日米協調介入へと進んだ流れとして整理できます。

円安への警戒を共有した日米財務相会談

最初の重要な転換点は、現地時間1月12日(日本時間13日)に遡ります。片山さつき財務相は、ベッセント米財務長官と会談し、急速で一方向的な円安に対する懸念を伝えました。両財務相が、最近の為替市場の動きについて問題意識を共有していたことが明らかになりました。

当時のドル円は158円台で推移しており、片山財務相の発言後には円高に振れる場面があったものの、その後は再び円安方向に戻りました。

この会談が重要だったのは、日本側だけでなく米国側も、急激で一方向的な円安を問題視する姿勢を示した点です。ただし、米国が「ドル円を160円以下に抑える」といった具体的な水準目標を表明したわけではありません。

介入観測を強めたニューヨーク連銀のレートチェック

1月23日、ニューヨーク連銀が、金融機関にドル円の売買レートを尋ねるレートチェックを実施しました。レートチェックは実際の為替売買を伴う介入ではありませんが、介入を行う場合に備えて、市場で実際に取引可能なレートを確認する行為です。このレートチェックは、米財務省の要請を受け、ニューヨーク連銀が実施したものと報じられています。

その後、FOMC議事要旨でも、ニューヨーク連銀のオープンマーケット・デスクが米財務省の代理としてレートチェックを要請したことが確認されました。

ドル円は、ニューヨーク市場の朝方に158円台から159円台前半まで上昇した後、急速に円高へ振れ、一時155円66銭まで下落しました。

この動きによって、単なる口先介入ではなく、日米当局が実際の介入を視野に入れた準備段階に入ったとの警戒が市場で強まりました。

一部の市場参加者は、米国側も円安の進行を抑える方向で協力する可能性があると受け止めました。

しかし、「米国側が日米協調介入を正式に決定していた」とまでは確認できません。

また、レートチェックによる円高効果は長続きしませんでした。日米金利差、米国金利の動向、投機的な円売り、リスク選好の強まりなどを背景に、ドル円は再び上昇しました。

投資管理もマネーフォワード MEで完結!配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward HOME]