はじめに

164円近辺で実施された日米協調介入

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7月末にはドル円が164円近辺まで上昇し、過去の高値圏に接近しました。原油高や日本から海外への投資資金の流出も円安要因として意識されました。円安が短期間に加速したことで、再介入への警戒が強まっていたものの、160円を超えてもなかなか介入が入らなかったため、市場参加者が油断していた部分もあるかと思います。そんななか、中銀ウィークを迎え、日銀金融政策決定会合を前に介入が入った形です。

米国東部時間の7月30日(日本時間31日)、日本側の円買い介入が行われました。翌31日には米財務省も協調介入を実施し、ドル円は164円近辺から155円台前半まで急落しました。急激な値動きによって、積み上がっていた投機的な円売りポジションやドル買いポジションの巻き戻しが進んだと考えられます。

日本側の円買いに加え、米財務省もユーロ売り・円買いを行う形で協調介入に参加しました。米国による円買い介入は極めて異例であり、市場に強い政策シグナルを与えています。

さらに日米による協調介入は2011年以来15年ぶりとされ、円買い介入という意味では1998年以来、約28年ぶりの異例の措置となりました。

週明けの8月3日、片山財務相とベッセント米財務長官は、米国東部時間の7月31日に日米が協調して円買い介入を実施したことを正式に発表しました。日本財務省は、今回の介入について、最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処するための措置だと説明しています。また、必要であれば、今後も協調介入をためらわない姿勢を示しました。

米国が協調介入に動いた背景

1月のベッセント財務長官の姿勢は、米国が日本の円安対策を単に支持したというだけではありません。米国側も、急激な円安が金融市場や通商環境に影響を及ぼす可能性を意識していたことを示す材料となりました。

ただし、米国の介入理由を一つに絞ることはできません。考えられる要因には、急激で一方向的な為替変動を抑えること、円安が日本の輸入インフレや長期金利に与える影響を抑えること、日本の長期金利上昇が米国の長期金利に波及することへの警戒などがあります。

そのほかにも、円安による日本の輸出競争力の変化や、米国の対日通商政策への影響、日本が介入資金を確保するために米国債を市場で大量に売却することへの懸念、日米間の金融・経済政策上の協調を示すことなどが背景にあった可能性があります。

米国側の公式な説明は、円の過度な変動や無秩序な動きへの対応です。したがって、「米国が日本の輸出産業を守るために介入した」「米国債の売却回避だけが目的だった」と断定することはできません。

より妥当な見方は、米国にも急激な円安を抑制する経済的・金融的な動機が複数存在し、それが日米協調介入につながる背景の一つになったというものです。個人的には米国債を売られたくなかったというのが大きな理由であると考えます。

FIMAレポによる介入資金の確保

その根拠ともなるのがFIMAレポ・ファシリティーです。今回、日本財務省は、将来的に米連邦準備制度のFIMAレポを利用する方針を示しました。FIMAレポは、外国の中央銀行や通貨当局が保有する米国債を担保に、ドル資金を一時的に調達する仕組みです。日本はこれにより、米国債を市場で直接売却せずに調達したドルを円買い介入に活用できます。

通常の円買い介入では、日本の外貨準備に含まれるドル資産などを売却して円を買います。その際、米国債を市場で大量に売却すれば、米国債価格の下落や米長期金利の上昇につながる可能性があります。

FIMAレポは、こうした米国債市場への直接的な売り圧力を抑える選択肢として注目されました。ただし、利用には金利負担や返済条件があります。介入の持続性を高める効果は期待できますが、日米金利差や日本の貿易・サービス収支、海外投資に伴う円売りなど、円安の構造要因を直接変えるものではありません。

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