はじめに

1日に数千円単位で上下するなど、かつてないほどの乱高下を繰り返している日経平均株価。米国のハイテク企業の好決算が発表されても、関連株が急落するなど不可解な動きも見られ、投資家にとっても判断が難しい局面が続いています。

マネーフォワード MEのYouTubeチャンネル「ME STUDIO」で配信されている「大川 & Nobbyの聴くだけ投資」では、クオンツアナリストの大川智宏氏とDJ Nobby氏が最新の相場動向を鋭く解説しています。今回は、半導体株の急変や、イーロン・マスク氏率いるスペースXの初の決算公開、さらにパランティアの30%急騰など、急展開する相場動向と今後の投資の着眼点について解説します。

動画本編では、好決算でも売られる半導体市場の「ねじれ」の真相から、海外で絶好調な「キッコーマン」の醤油から紐解くグローバル外食株のチャンス、そして大川道場で取り上げた「共栄タンカー」の評価まで、荒れる相場を乗り切るための着眼点を詳しく紐解きます。

【この記事の要約(3つのポイント)】
半導体相場の変化とIT大手の強さ:乱高下する半導体市場の裏で、コスト低下の恩恵を受けるハイパースケーラー(巨大IT企業)や、ハードからソフトへ主役が交代するパランティアの強さを解説
宇宙ビジネスが実需へ近づく現状:スペースX初の決算公開やデブリ(宇宙ゴミ)衝突のニュースから、宇宙デブリ除去など「宇宙ビジネス」がいよいよファンタジーから実需へと移行しつつある現状を考察
身近な内需優良株と出遅れ株の勝機:海外で大ヒットする「キッコーマン」の醤油から紐解くグローバル外食株のチャンスや、大川道場で取り上げた出遅れ海運株「共栄タンカー」の今後の着眼点を分析

半導体は「満額回答」でも急落? 乱高下の中で大川氏が注目する「ハイパースケーラー」の底力

足元で半導体メモリ関連の決算発表が相次ぎ、サンディスクやAMDなど、売上・利益ともに市場予想を上回る「満額回答」の強い数字が示されました。しかし、決算発表後の時間外取引で株価が急落した後に再び戻すなど、極めて荒い値動き(ボラティリティ)に翻弄される場面が続いています。 大川氏は「どっちに転ぶか分からない超高ボラティリティに巻き込まれたくない投資家が、一旦手仕舞いしてポジションを調整している」と分析します。インフレ見通しの不透明感や金利上昇に伴うハイテク企業の財務負担懸念が、複雑に絡み合っているためです。

こうした警戒相場で、大川氏が「お、これちょっと見えてきたかな」と注目しているのが、「ハイパースケーラー(巨大IT企業)の圧倒的な強さです。Google、Amazon、Microsoftなどの決算を確認すると、AIインフラの土台となるクラウド(データセンター)ビジネスが前年比数十%〜80%超という異次元の伸びを見せており、「すでに莫大な利益を叩き出している」ことがわかります。

将来的にメモリやGPUの価格が落ち着けば、ハイパースケーラーにとっては巨額だった設備投資「コストが下がる」ことを意味します。つまり、現状でも十分に儲かっているビジネスの利益率(マージン)がさらに拡大し、業績がブーストされるという手堅いロジックが成り立ちます。半導体株が調整する中で、大手ハイテク株が淡々と買い戻されて上昇している背景には、こうした先読みの安心感があると同氏は分析しています。

パランティアが30%急騰!「ハードからソフトへ」いよいよ始まった主役交代

市場の選別が厳しくなる中、ひときわ強い輝きを放ったのが、決算後に株価が一時30%も暴騰した「パランティア・テクノロジーズ」です。他の半導体企業が強い決算でも利益確定に押される中、なぜパランティアだけがこれほど急騰したのでしょうか。大川氏は、「ハードウェア(半導体やメモリ)から、ソフトウェアへの資金シフトがようやく本格化し始めた」点を挙げます。

これまで相場を牽引してきたのはハードウェア(物理的なインフラ)でしたが、一方でソフトウェア企業は「自社サービスがAIに代替されるのではないか」という過剰な警戒感から、2026年2月以降に大きく売られ続けていました。しかし今回、パランティアが民間および政府防衛向け(セキュリティや安全性の高い運用)で極めて強固な実需を示したことで、市場の過度な懸念が一気に払拭され、元の適正なバリエーションへ戻るリバウンドが起きました。ITコンサル大手のアクセンチュアなどにも底打ちの動きが見られており、「ハードを作った後の『誰がそれを使って稼ぐのか』というソフトウェアの段階」に、相場の主役が移行しつつあることがうかがえます。

スペースX初の決算公開と、イーロン・マスク氏も直面する「巨額の投資コスト」

世界的にも大きな注目を集めたのが、イーロン・マスク氏率いる宇宙ベンチャー「スペースX」の初の決算公開です。売上・利益(赤字幅の縮小)ともに市場予想を上回る好調さを見せたものの、決算直後は一時的に売られ、株価は104ドル付近まで軟調に推移しました。その理由は、同社も例外なく「AI・先端半導体への巨額の設備投資コスト」に直面しているためです。高級品であるエヌビディア製のGPUを大量に買い入れるなど、資本支出が前年比数倍のレベルで急増しており、「いつ確実に黒字化するのか」という短期的な警戒感を呼びました。

しかし、大手証券会社各社は「宇宙空間における巨大データセンターの運用」というスペースXの新たな収益の柱(マネタイズ)を高く評価しており、長期的な目標株価は軒並み200ドル以上の強気な見方を維持しています。

また、「月に宇宙デブリ(ゴミ)が衝突した」という現実のニュースが流れる中、宇宙環境を守るための「デブリ除去ビジネス」が急速にファンタジーから実需へと近づいています。アストロスケールのような国内のデブリ除去関連株にも連想的な注目が集まっており、宇宙ビジネスが「お宝テーマ」としていよいよ具体性を帯びてきている点に注目です。

キッコーマン醤油が海外で大ヒット! 「日本食人気」の裏で注目したい身近な内需優良株

国内に目を向けると、醤油大手の「キッコーマン」が決算後に株価を大きく跳ね上げています。注目すべきは、国内セグメントを遥かに凌ぐ「海外セグメント」の驚異的な伸びです。

大川氏は「海外は日本国内と異なりインフレ(物価高)に慣れているため、製品の価値に合わせた『価格転嫁(値上げ)』がスムーズに進む強みがある」と解説します。キッコーマンの醤油が世界中でヒットしている(=日本食のグローバルな浸透)という確固たるエビデンスは、実は私たちの身近な外食株のチャンスを強力にサポートしています。同氏が以前から注目している、海外展開を積極的に進める「ゼンショー」や「すかいらーく」といったグローバル外食株は、海外でのインフレ耐性と日本食人気を背景に、極めて強い成長ポテンシャルを秘めていると言えそうです。

大川道場:大幅上方修正も株価は出遅れ? 海運の中小型株「共栄タンカー」の見方

動画の後半、DJ Nobby氏が持ち込んだ銘柄をジャッジする「大川道場」のコーナーでは、中小型の海運株「共栄タンカー」を取り上げました。同社は中東情勢の長期化に伴う船の遠回り(迂回ルート)需要の増加や保守的な想定為替レートの修正などを追い風に、大幅な業績上方修正を発表しました。大手海運(日本郵船など)の株価が軒並み過去最高値近辺を走る絶好調さを見せる一方で、共栄タンカーの株価は極端な「出遅れ状態」にあります。

大川氏は「ファンダメンタルズが株価に反映されにくく、出来高が少ない(市場で放置されやすい)流動性リスクはある」と慎重な部分も指摘。しかし、「海運大手との強い結びつきや、エネルギー輸送の実需の底堅さを踏まえると、出遅れ感は鮮明。10年スパンの長期成長株としてではなく、中東情勢の動向に割り切って『数ヶ月〜1年程度』の期間で値上がりを待つ取引であれば、非常に面白い選択肢になる」と評価しました。荒れる相場の中で、こうした「業績が裏付けられた割安な出遅れ株」を探す視点は、大いに参考になります。

より詳細な相場分析や、各企業の取り組みに対する大川氏のリアルな視点については、ぜひマネーフォワード MEのYouTubeチャンネル「ME STUDIO」の番組「大川 & Nobbyの聴くだけ投資」でお楽しみください。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

この記事の感想を教えてください。