はじめに
円谷フィールズホールディングス(2767)が7月28日、決算発表の翌営業日にストップ高(前日比+26.1%の1,930円)をつけました。翌29日も連日のストップ高となり、8月4日には2,545円まで上昇。6月23日の安値1,321円からは、1カ月半で株価がほぼ倍になった計算です。
しかし、不思議なのは、発表された第1四半期決算そのものは減収減益だったという点です。それでもなぜ株価はここまで買われたのか、決算資料を見ながら整理します。
・円谷フィールズHDが1Q減収減益にもかかわらず連日のストップ高を記録
・背景には通期業績・中計の大幅上方修正と、1株140円への大幅増配がある
・パチンコ反動減をコンテンツ事業が補い、構造的な収益力向上に好感集まる
そもそも円谷フィールズの2つの事業とは
円谷フィールズは、名前の通り「ウルトラマン」シリーズを生み出した円谷プロダクションを傘下に持つ持株会社ですが、実は売上の9割前後を稼いでいるのは、パチンコ・パチスロ機器を扱う「アミューズメント事業」(フィールズ株式会社が担当)です。
アミューズメント事業は、自社でゲームを作っているわけではなく、パチンコホールへの機器の販売・流通を担うプラットフォーム事業です。今回の決算で名前が挙がった具体的な機種でいうと、大ヒット漫画・アニメを題材にした『東京喰種』シリーズや『新世紀エヴァンゲリオン』『機動戦士ガンダム ユニコーン』『バイオハザード6』などをテーマにしたパチンコ・パチスロ台を、全国のパチンコホールに供給しています。「アニメ・ゲームのキャラクターが出てくるパチンコ台を作って、全国のホールに売る事業」と考えるとイメージしやすいと思います。
一方のコンテンツ&デジタル事業は、中核である円谷プロダクションが持つ「ウルトラマン」IPを軸にした事業です。国内では企業とのコラボ商品化ライセンスや、直営店「ULTRA MART TOKYO」(2026年7月原宿にオープン)での自社グッズ販売、舞台やイベントなどの映像・ライブ事業を展開しています。海外では特に中国が大きな収益源で、ウルトラマンをモチーフにしたブロック玩具のライセンス収入が伸びており、直近の決算でも中国のブロック玩具が業績回復のけん引役になっています。
つまり同社は、「パチンコ台の流通で稼ぐビジネス」と「ウルトラマンIPをライセンス・グッズ・映像で広げるビジネス」という、性格の異なる2つの事業を一つの持株会社で運営している点が特徴です。今回の決算でも、この2つが逆方向(アミューズメントは反動減、コンテンツ&デジタルは大幅増益)に動きながら、両方とも通期では上方修正されたという構図になっています。
1Q決算は減収減益。ただし反動の範囲内
2027年3月期第1四半期は、売上高437億円(前年同期比21.3%減)、営業利益68.8億円(同11.9%減)でした。数字だけ見ると悪化しているように見えますが、要因は主力のアミューズメント事業で、前年同期に複数の人気機種が同時発売されていた反動です。遊技機の販売台数は6.7万台(前年同期9.5万台)に減ったものの、営業利益率はむしろ15.8%から17.4%へ改善しています。一方、コンテンツ&デジタル事業は売上高こそ4.9%減ですが、営業利益は9.2億円と前年から約2倍に拡大しました。中国での商品化ライセンス収入が伸びたことが主因です。