はじめに
ただし、この資産の6割超は60代以上のもの
ここまで明るい話が続きましたが、目をそらせない事実もあります。日本の家計金融資産のうち、6割超を60代以上が保有しているのです。
この世代の資産はこれから、医療や介護、生活費のために資産を取り崩す側に回り、やがて相続によって次の世代へと移っていきます。受け取った現役世代が現金のまま寝かせるのか、それとも運用しながら引き継ぐのか。10年後の日本の"真ん中"がどうなっているかは、そこで決まります。世界10位というポジションは、放っておけばジリジリと下がっていく状況なのです。
幸い、NISAやiDeCoといった非課税で長期投資ができる仕組みのおかげで、バトンを受け取る環境は整いつつあります。この5年の資産増を押し上げたのは主に株高と住宅価格でしたが、これらの制度が本当に効いてくるのは、むしろこれからです。この5年で報われたのが「市場に居続けた人」だったことを思えば、次の5年に向けた答えも、そう遠くないところにあるはずです。
王道は報われていた——コツコツ続けてきたあなたへ
かつての日本では「投資は怖いもの」で、実際に踏み出す人は少数派でした。それでも、年金への不安や物価上昇のなかで、リスクを承知で市場に一歩を踏み出し、急落の場面でも手放さずに続けてきた人たちがいます。今回の「世界1位」は、その選択と忍耐が報われた結果です。素直に、お疲れさまでしたと申し上げたい数字です。
「長期・分散・積立」。金融庁がNISAやiDeCoの制度設計で一貫して掲げてきた、聞き飽きるほどありふれた王道です。今回のレポートが特別なのは、この王道が実際に報われたことを、世界56市場の一次データが裏付けた点にあります。ありふれた助言に、ありふれていない証拠が付いた——それが今回の「世界1位」の本当の意味です。
この先が円安なのか円高なのか、インフレなのかデフレなのかは、誰にも分かりません。分からないからこそ、現預金だけにすべてを置くのではなく、値動きの異なる資産にも分けて置く。どの局面が来ても大きく目減りせず、局面によっては育っていく——そんな構えで、これからも淡々と王道を歩いていけばよいのではないでしょうか。次の5年、この物語の主役もまた、市場に居続けた私たち一人ひとりです。
投資管理もマネーフォワード MEで完結!複数の証券口座から配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward HOME]