はじめに

下落局面で判断が割れるのは、相場を読めるかどうかだけではない

同じ下落を見ても、動じにくい人と、不安になって売りたくなる人がいます。その違いは、相場を読めるかどうかだけではありません。

「この下落は一時的だ」と言い当てられる人だけが、持ち続けられるわけではありません。むしろ多くの場合、そのお金を何のために置いているのか、いつ使う予定のお金なのか、ということを理解しているかどうかが、判断の分かれ目になります。

たとえば、10年後、20年後の資産形成として積み立てているお金であれば、1か月で10%以上下がったとしても、すぐに使う予定がなければ、慌てて売る理由にはならないかもしれません。一方で、半年後に使う予定のお金まで投資していた人は、同じ下落でも不安が大きくなります。

同じ商品を持っていても、家計の状態や投資しているお金の目的によって、取るべき行動は変わります。しかし、ここで大切なのは、「下がっても絶対に売らない」と決めることではありません。

生活防衛資金は確保できているか、近いうちに使う予定のお金まで投資に回していないか、長期で置ける資金と、近いうちに使う資金を分けられているか、これらを日頃から確認できているかどうかなのです

相場が下がってから考えると、どうしても目の前の値動きに引っ張られます。ニュースを見れば不安になり、少し反発すれば安心する。その繰り返しになります。だからこそ、下落局面で判断が割れる理由は、相場を読めるかどうかだけではなく、そのお金を、いつ、何のために使うお金として置いているのか。そこが決まっているだけでも、下がったときに「今すぐ売らないと」と追い込まれにくくなるのです。

次の下落が来る前に、1つだけ決めておく

今回のような下落と急反発は、今後も起こります。そして、いつ起こるかは分かりませんし、それがどのくらい下がるかも、反発が起こるかも分かりません。

だからこそ、次の下落が来てから考えるのではなく、今のうちに1つだけ決めておきたいことがあります。それは、「次に大きく下がったとき、自分は何をするのか」です。

たとえば、長期投資用の資金であれば、10%下がっても積立は続ける、生活防衛資金を崩してまで買い増しはしない、半年以内に使う予定のお金は、投資に回さない、ニュースだけを理由に売らないなど、どれを決めるかは、人によって違います。大切なのは、下落の最中に考えないことです。

相場が大きく下がっているとき、人は冷静に判断しているつもりでも、損をしたくない気持ちに強く影響されます。逆に、急反発したときは、乗り遅れたくない気持ちが出てきます。下落の中で売りたくなるし、反発を見て買い直したくもなります。

この感情の動きは、投資をしていれば誰にでも起こります。だからこそ、感情が動いていない平常時に、下落時の行動を決めておくことに意味があります。

毎回、いちばん安いところで買い、いちばん高いところで売ることはできません。自分の資金の目的を理解し、下落時にも判断がぶれにくい状態をつくっておくことが大切なのです。

「あの時売らなければよかった」と後悔しないために必要なのは、「次に下がったとき、自分は何をするのか」。その答えを、相場が落ち着いている今のうちに決めておくことなのです。

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