はじめに

日本はずっとデフレだったのに、インフレは続くの?

──日本では長い間、ほとんど物価が上がりませんでした。急にインフレと言われても、実感が持てません

むしろ日本の過去数十年の状況こそ、世界的にも歴史的にも極めて特殊だったのです。

以下のグラフは1991年から2023年にかけてのG7各国の賃金推移の状況です。日本は30年もの間ほとんど賃金が上昇していない一方で、米国は2.88倍、英国は2.87倍も上昇していることがわかります。

出典:基礎資料(内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局)

このように、諸外国では賃金が大きく伸びてきた一方、日本では物価も賃金も大きく上がらない時代が長く続きました。そのため、今でも「物価は上がらないもの」「お金の価値はあまり変わらないもの」という感覚を持っている人は少なくありません。

しかし、経済が成長し、賃金も上がっていく社会では、物価も一定程度上昇していくのが自然です。これから世界経済の成長に参加しながら資産形成を考えるのであれば、物価がゆるやかに上がっていく社会を前提に、自分のお金の置き場所を考える必要があります。

投資したいけど、家計に余裕がありません

──物価高で毎月の生活費も増えていて、投資に回せるお金があまりないんです。それでも、NISAを始めたほうがよいでしょうか?

私は、毎月の生活費は「目の前の自分や生活を守るためのお金」、投資は「将来の自分や生活を守るためのお金」だと考えています。目の前の生活を守る安全性資産のポケットと、将来に備えるリスク資産のポケットを分けて考えることが大切です。どちらか一方ではなく、今と将来、どちらの生活も守るためのバランスを意識しましょう。

将来に備えることは大切ですが、投資に回しすぎて今の生活がおろそかになるのは本末転倒です。「NISA貧乏」になる必要はありませんが、将来に備えないこともまたリスクになり得ます。少額でもよいので、無理のない範囲で少しずつ積立投資を始めればよいでしょう。

──毎月いくらから始めるべきですか?
家計の状況は人それぞれ違いますし、一概にいくらがよいという目安はありません。それよりも、投資を生活の中に組み込み、継続することのほうが大切です。

たとえば、「毎月1万円積み立てる」と決めても、今月は家計が苦しいなと思えば半分に減らしてかまいません。その時々の生活状況に合わせて柔軟に金額を変え、無理のない範囲で続けていけばよいのです。大事なのは、決めた金額を守ることではなく、少しずつでも続けること。まずは少額でも、将来のためにお金を回すことを習慣にしてみてはいかがでしょうか。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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