はじめに
9月はFOMCと日銀の金融政策決定会合が相次ぎ、日米の金利見通しが株式・為替市場を左右しやすい局面です。重要なのは、利上げの有無だけでなく、その背景にある物価・雇用・賃金と企業利益への影響を確認すること。日米の政策判断を踏まえ、個人投資家が保有銘柄を「金利・為替・利益」の3点から点検する視点を解説します。
9月FOMCで問われる追加利上げ
9月4日の8月雇用統計を通過しましたが、9月相場では日米の金融政策が重要な注目点になります。米連邦公開市場委員会(FOMC)は9月15~16日、日銀の金融政策決定会合は17~18日に予定されています。日本の投資家にとっては、米国の政策判断を受けた直後に日銀会合を迎える日程です。
ただ、投資判断で大切なのは「利上げするか、しないか」を当てることだけではありません。金利がどの水準まで上がり、その状態がどれほど続くのか。そして、その間に企業利益が成長できるのか。ここまで考える必要があります。
同じ利上げでも、好調な景気を背景とする場合と、景気が弱いのに物価上昇を抑えるために行う場合では、株式市場への意味が異なります。政策の方向だけでなく、その理由を確認することが出発点です。
FRBは7月29日のFOMCで、政策金利の誘導目標を3.50~3.75%に据え置きました。ただし決定は9対3で、反対した3人は0.25ポイントの利上げを支持しています。FRB内部でも、追加引き締めの必要性について意見が分かれています。
8月26日に公表された7月のPCE物価指数は前年同月比3.7%上昇、食品とエネルギーを除くコア指数は3.3%上昇でした。FRBが長期目標とする総合PCEの2%には、なお距離があります。
こうしたなか、ウォーシュFRB議長は8月28日のジャクソンホール講演で、インフレが十分な速さで2%へ向かっていると確信できなければ、追加対応が必要になるとの姿勢を示しました。タカ派的な内容であったと捉えられた一方、特定の政策決定を約束したわけではありません。また、平時の詳細な政策予告に慎重な考えを示し、市場が中央銀行の発言に過度に依存することへの懸念も表明しています。
講演を受けて、CME GroupのFedWatchツールでは、9月利上げの確率が約35%から57%台まで上昇しました。ただし、「物価次第では追加利上げがあり、金利が高い状態も長引き得る」と捉えるのが適切でしょう。
とはいえ、トランプ陣営が中間選挙に向けて苦戦ムードにあるなか、FOMCが9月に利上げに踏み切れるのか(トランプ陣営は望んでいないため)、疑問視している方もいらっしゃるでしょう。
物価・雇用と企業利益が左右する米国株
FRBの判断を考える軸は、物価の安定と雇用の最大化という使命にあります。今後の米国市場では、インフレと景気のどちらが、どの程度弱まるのかが重要になります。
物価上昇が落ち着き、雇用や消費が大きく崩れなければ、追加利上げへの警戒が和らぎ、企業利益も維持されやすくなります。一方、雇用や消費の悪化が進めば、金利上昇への不安が薄れても、業績下方修正が株価の重荷になる可能性があります。
特に難しいのは、原油高などで物価が上がる一方、家計の購買力や企業の利益率が圧迫されるケースです。利上げでは原油の供給不足そのものを解消できません。しかし、物価上昇が幅広い商品やサービスに波及すれば、中央銀行は対応を迫られます。投資家はインフレ率だけでなく、企業がコスト増を価格転嫁できているかも確認したいところです。
また、会合前には9月11日に8月CPIの公表が予定されており、注目です。