はじめに
日米金利差とドル円の反応

為替を考える際には、日本だけでなく米国の金利見通しも必要です。
日銀の利上げ観測が強まっても、同時に米国の利上げ観測が強まれば、日米金利差が十分に縮まらない可能性があります。「日本が利上げするから円高になる」という一方向の見方には注意が必要です。
また、為替は現在の政策金利だけでなく、その先の金利予想、貿易・投資に伴う資金需要、市場のリスク回避姿勢などでも動きます。政策が事前に織り込まれていれば、予想どおりの利上げ後に円高が進まないこともあります。
会合後は、決定内容に加えて、日米の2年債利回りやドル円がどう反応するかを確認すると、市場が政策を予想より強い引き締めと見たのか、それとも慎重な判断と受け止めたのかを考える手掛かりになります。
保有銘柄を「金利・為替・利益」で点検
個人投資家としては保有銘柄を「金利・為替・利益」の3つで点検することが必要でしょう。金利上昇の影響は、業種名だけでは判断できません。
銀行では貸出金利の上昇が収益改善につながる可能性がありますが、預金金利の上昇や保有債券の評価損、貸出先の業績悪化による信用コストも確認する必要があります。「金利上昇なら銀行株はすべて有利」とは限りません。
不動産会社やREITなどは、借り入れの多さだけでなく、固定金利の割合、借り換え時期、賃料収入の伸びが重要です。同じ金利上昇でも、利払い負担がすぐ増える企業と、影響が出るまで時間のある企業では差があります。
高PERの成長株も一括りにはできません。金利上昇は将来利益の現在価値を押し下げる要因になりますが、それを上回る利益成長があれば影響を吸収できる場合もあります。売上の伸びだけでなく、利益率、フリーキャッシュフロー、設備投資負担、財務体質まで確認したいところです。
為替感応度と海外資産の円換算リターン
為替についても、円高が輸出企業に不利、内需企業に有利という整理だけでは不十分です。海外生産の比率や為替ヘッジ、原材料の調達通貨、販売価格への転嫁力によって、影響は変わります。決算資料にある想定為替レートや為替感応度を確認することが実践的です。
さらに、米国株や海外ETFを持つ場合には、現地通貨での値動きと円換算のリターンを分けて考えます。米国株が上がっても、円高が進めば円換算の利益が小さくなることがあります。